里親詐欺に注意しましょう

募集を開始してから応募が数件あるいは数十件といった形で寄せられることでしょう。これは猫の年齢や種類などによる部分もあります。しかし、応募件数に関わらず、特に注意すべき点がいくつか存在します。

里親詐欺には注意しましょう

重要なのは、応募者・募集者ともに警戒心を持つことです。里親詐欺に巻き込まれないためにも、双方が心地よい状況で交渉を進めるためにも、慎重さは重要です。後悔を避けるためにも、急ぐことは避けましょう。

里親詐欺とは何か?

里親詐欺という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんし、初めて耳にする方もいるかもしれません。これは善意を装った詐欺者が、虐待の目的、実験動物としての使用、毛皮の販売、あるいは他の里親から費用を詐取する目的で猫を引き取るという悪質な行為を指します。インターネット上での交流や実際に面会し、会話を交わしても、表面上は普通の人間としか見えないケースが多く、また、募集者が喜びそうな「完璧な」情報を提供する場合もあります。里親詐欺についての知識を身につけ、予防策を講じて、詐欺から自身を守るための対策を取りましょう。

個人情報をすぐに要求されることはありませんか?

応募者が単に個人情報を収集したいだけの場合や、サイトを介さずに個人間でやり取りをしようとする場合があります。もし、焦っている人からの応募があった場合は、「縁がなかった」と考え、断る勇気を持つことが重要です。

また、募集者が急いで個人情報を要求することについても注意が必要です。個人情報を収集するだけの人や、焦りから里親詐欺者の標的になることもあります。期限が迫っていて「応募する際には必ず電話番号、住所などの個人情報をお送りください」という要求をする人もいるかもしれませんが、そのような悪質な行為を行っている人が存在することも事実です。そのため、初めの段階では特定の個人を識別できない情報までの交換をお勧めします。その後、数回の交流を経てから、個人情報の交換に進むことで、双方が安心してコミュニケーションを取ることができます。

個人情報の取り扱いは慎重に

引き渡しまでに相手の連絡先は確認可能か

応募者の中には、動物虐待を目的とした里親詐欺者や、適切な飼育条件を満たさない人々が存在します。個人情報をすぐに求めることはリスクを伴いますが、一方で、最終的に相手の情報を何も把握していない状態も危険です。例えば、定期的な連絡が条件であったにも関わらず、猫の引き渡し後に応募者からの連絡が全くなくなり、猫の現状が把握できないといった事態も考えられます。

そのため、引き渡しの段階までに応募者の氏名、住所、サイト外での連絡先を必ず確認するようにしましょう。住居の確認も重要です。応募者が良心的であることは理解できますが、「猫が快適に生活できる環境を提供しています」と言われても、実際に目の当たりにした環境が適切でない場合もあり得ます。そのため、自身の目で確認し、判断することが不可欠です。

さらなる安心感を得るために、引き渡しの際には相互に身分証を提示し、「見て確認」することも一つの方法です。また、「我々から直接ご自宅に猫をお届けします」などの条件を明記するだけでも、里親詐欺防止に寄与します。

相手を注意深く観察し、聞きましょう

こちらから特に問いかけていないにも関わらず、過度に動物愛好家をアピールする人や、過去の飼育経験や条件に関して極めて完璧な説明をする人がいる場合、彼らは里親詐欺の可能性があります。本当に完璧な応募者がいる場合もありますが、話を進める場合には、メッセージの交換や対話を何度も行い、矛盾点がないか、また写真で確認可能な内容であれば写真を送ってもらうなど、常に冷静な判断を続けましょう。

全ての特徴が当てはまるからと言って、必ずしもその人が里親詐欺者であるとは限りません。しかし、残念ながら、こういった行動を取る人々が存在することも事実です。そのことを頭に入れて、常に冷静に対応するようにしましょう。

冷静にやり取りを行ってください

より詳細な里親詐欺対策について

ネコジルシでは、里親詐欺に遭遇しないための情報や、初めて里親募集を行う方々のための重要な注意点を掲載者の皆様に気に留めていただきたい事項にて掲載していますので、是非ご一読ください。引き渡しの際に双方が記入を行う里親譲渡誓約書なども用いて、安心して引き渡しを行うようにしましょう。

里親募集開始から終了までの注意点

SNS、里親募集サイト、スーパーなどでチラシを掲示し、募集を受け付けると思います。里親が見つかった後も、そのまま「募集中」のステータスを維持していると、後から見た人々を混乱させる可能性があります。そのため、募集が終了した際は、募集終了のステータスに切り替える、記事を削除する、掲示したチラシを回収するなど、適切な対応をとりましょう。

また、可能であれば、里親が決定した際には「無事に里親が決まりました。ご応募いただきありがとうございました!」と一言添え、応募してくださった方々や、拡散してくださった方々に対して、報告と感謝の気持ちを伝えることも大切です。

著者紹介

上杉 華子(猫コンシェルジュ)

猫に関する専門家として猫の知識と経験が豊富で、猫の飼い主たちから高い評価を受けており、
猫の行動学や猫種の特徴、猫の健康や栄養管理など、猫に関する様々なトピックについて情報発信。
猫に関する情報が科学的根拠に基づき、そして分かりやすい言葉で説明していることを心がけ、猫の世話やしつけ方法、猫の病気や予防策についてのアドバイスを提供しています。
幼いころから猫を飼って育った自身の経験をもとに情報発信を行い、保護猫の里親探しや猫の福祉向上を目指して活動中。