えりかの猫本レビュー

第54回 さっぱりでこってり「くるねこ」


2008年もカレンダー上では春に突入。
日差しが柔らかくなってきましたね。
今回のえりかのコラムは
くるねこ大和著「くるねこ」のご紹介。
ごゆっくりご覧下さい。


















さんは、ミスター味っ子という

漫画があったのを知っておられますか。

そうですね。
今の若人にも分かりやすく言うと、
「喰いタン」というドラマがありましたね。
その原作者が昔描いてたグルメ漫画です。

食堂の一人息子の陽一君が、次々と降りかかる
問題を得意の料理で解決するぜという、
なかなか面白い漫画でありました。









その中のエピソードのひとつ、駅弁対決。
駅弁を作る中、お弁当には付き物の
「卵焼き」で悩む陽一君。

陽一君が考案したメニューから考えるに、
このお弁当に入れる卵焼きは
「こってりでさっぱり」
していなければならない。









こってりなのにさっぱり。
さっぱりなのにこってり。

対極にいる性質を、ひとつに
まとめなければいけない。

陽一君は、ここで悩むわけですが
ある食材を使うことでこの問題を
解決しました。










長々とミスター味っ子の話をしてしまいました。
話を元に戻すと、この「くるねこ」という本。
まさにその「こってりなのにさっぱり」

さっぱりした読みごたえなのに、
後に残るモノは結構こってり。

さっぱりだといっても薄いわけでもなく、
むしろ、猫好きのツボを突きまくり。

猫がどんどん増えていくあたりなんて、
猫飼ってりゃ理解できないはずがない。







だからって重いわけでもなく。
こってりと言っても、ずずーんと
のしかかる重さは無いわけです。

重い部分を、さらりとふんわりと表現。
だからこそ、適度な余韻を残しつつ
笑わせてくれたり、泣かせてくれたり。

そうなんです。
アハハおもしれー、と油断しながら
読んでいると、不意打ちされるのがこの本。

泣かせてくれるんです。
しかも、ひとコマとかで泣かせてくれる。
持っていき方がうますぎる。









陽一君の卵焼きも、一口試食した人が
「う・・・・うまい!!」と、3コマも使って
言うほどのうまい卵焼きでした。

「こってり」と「さっぱり」が
同居した味というのはおいしいんです。



めるし笑えるし泣けるし、

猫がいっぱい出てくるし、
好きだなぁ。こういう本。

絵にもクセがなくて見やすいので、
老若男女万人におすすめできます。











猫飼いの喜怒哀楽を、喜と楽大目で
表してくれていますが、ほろりと哀、
そしてぽちりの怒が良いスパイスになって
それがまた、飽きずに読ませる隠し味。

なんだかんだで一冊一気に読みました。
なんだかんだでその後もパラパラ捲ってます。
じっくりじんわり、するめ本。














くるねこ

引き取り手のない猫が一匹、また一匹…。いつのまに自宅にはすでに4匹の猫が! しかし、それだけでは懲りず、ついつい可哀想だとまたしても捨て猫を拾ってしまうサガ。猫たちの日常に加え、拾った猫の生い立ちや里親探しの一部始終がマンガに。





次回は3月16日更新予定!次回も是非見てくださいね!

Auther:

★えりか


ご覧の通り、絵も文もゆる〜い感じで進むこのコラムですが、皆様のお目汚しにならないよう、しこしこと精進しながらがんばっていきますので、どうかよろしくお願いいたします。

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