えりかの猫本レビュー

第40回 猫のもの詰め合わせ「猫のいる日々」


猛暑が続く最近、皆様どうお過ごしですか。
熱中症等には、充分にお気をつけ下さいね。
さて、今回は大佛次郎著「猫のいる日々」のご紹介。
ごゆっくりご覧下さい。



















者の大佛次郎さん。

「大佛」は、「おさらぎ」と読みます。
一度「おさらぎ」で変換してみてください。
一発で出ますから。









「佛」という字が、「沸騰(ふっとう)」と
いう文字の「沸(ふつ)」に似ているものですから、
私などは、ずっと「だいぶつじろう」と
認識しており、大変な恥をかいてしまいました。







ちなみに友人はずっと「おおほとけじろう」だと
思っていまして、二人揃って恥かき仲間と
相成りました。類は友を呼ぶ。






ついでにちょっとした発見。
「大佛」で「おさらぎ」なので、
「大」の部分が「おさらぎ」の「お」だと思い、
「さらぎ」で変換すると「佛」になるのかな、と
試してみたら、「蛇穴」になりました。
ちょっと調べてみたら、地名なんですねー。

奈良県にある地名です。
学生時代から地理が不自由なだけあって、
もう全く知りませんでした。
蛇穴の皆さん、ごめんなさい。







同じくご存じなかった皆様。
勉強になりましたね。

これからも、こんなに皆様のお役に立つ
えりかのコラムを、どうぞよろしくお願い致します。

ちなみに、この蛇穴には、「汁かけ祭」という
とっても美味しそうな祭りがあります。
いや実際に美味しいお祭りです。
気になった方は、調べてみるのも面白いですよ。






話の脱線も度を過ぎました。
まずは猫本レビューに戻りましょう。

名字だけでこんなにネタが尽きない大佛先生。
そんな大佛先生の家に住んだ猫の数は、
500匹に余るそうです。








大佛先生は、根っからの猫好き。

この「猫のいる日々」という本は、
大佛先生の猫に関するエッセイ・小説・童話を
一冊にまとめた、大佛先生の愛の一冊。
猫好きな大佛先生の、猫への愛がぱんぱんに
詰まった一冊なんです。

各章が短めに書かれており、
猫への愛情、眼差しが簡潔に描かれます。

簡潔に、淡々と描かれていますが、
何も「猫だーいすきっ!結婚してっ!」と、
派手に表現することばかりが、
愛情の大きさを表す言葉とは限りません。








猫好きな大佛先生の庭には、よく猫が捨てられます。
その猫達を、どうしても見捨てられないのが大佛夫妻。
捨てられた猫を拾っては育てているうちに、
飼っている猫の数は、10〜15匹に増えました。







大佛家を通りすがった猫達や、
色々な縁があって出会った猫達。
そんな猫達とのエピソードと、
大佛先生が書いた、猫についての小説、童話。
それらが詰め込まれたこの本は、
「猫」という字が1ページに最低2度は登場する、
猫好きの脳髄を喜ばす本となっております。




この本の魅力は、「一言」にあります。
かくあるべき事、しかしうまく言葉では
言い表せないことを、巧みな文章表現で表す「一言」。

派手な表現ではないものの、
滋味溢れる愛情がこもった一言。








奥さんがあまりにも猫を増やすため、
猫が15匹以上になったら家を出ると宣言した大佛先生。

ある日、猫の数を数えてみたらなんと16匹。
以下引用。


念の為に算えてみたら十六匹いたことが
あったので、女房を呼び出した。

「おい、一匹多いぞ。おれは家を出るぞ」と言ったら
「それはお客さまです。
 御飯を食べたら、帰ることになっています」



同じく猫好きの同志と、猫捨てについて憂いていた時。
以下引用。


霜夜に捨てて凍え死にさせるくらいなら、
オシャマスなべにして食ってやる方が人道的なのだ。
なんじの欲せざることを他人にほどこす。
捨てるなら勇気を出して鍋で煮て、おあがりなさい。

       〜中略〜

私はインテリ家庭の人道主義を信用しない。
猫を捨てるなら、こそこそこしないで
名前を名乗る勇気をお持ちなさい。





ういう一言を探すのが、この本の楽しみ。

猫好きの感銘を誘う一言がたくさんありますよ。

もちろん、童話も小説もモダンで
素敵な仕上がりです。

猫の小説・童話・エッセイが
ひとつにまとまったこの一冊。

当たりが詰まった福袋みたいな一冊です。









猫のいる日々

500匹もの猫を飼ったと言われる大佛次郎の、猫への愛が詰まった本。猫に関するエッセイや小説、童話などが一度に楽しめる、猫好きには嬉しい一冊。





次回は9月2日更新予定!次回も是非見てくださいね!

Auther:

★えりか


ご覧の通り、絵も文もゆる〜い感じで進むこのコラムですが、皆様のお目汚しにならないよう、しこしこと精進しながらがんばっていきますので、どうかよろしくお願いいたします。

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