やるせない・・・。

2017年3月17日(金) 818 / 19

昨年の秋口頃から、近所でよく見かけるご年配のご婦人がいました。
小柄な方で一見何の変哲も無いごく普通の年配のご婦人でした。
しかし、ひとつだけ他の人と決定的な違いがありました。
それは、いつもそのご婦人に寄り添うように付いて回る親子ネコの存在でした。
そのご婦人が歩けばその後を付いて歩き、立ち止まればご婦人の足元に佇むといった
具合でそれはとても見ていて微笑ましい光景に映りました。
最後にそのご婦人と言葉を交わしたのは今年の1月半ば頃だったと記憶しています。
その時もいつものようにそのご婦人の後を親子ネコが付いて歩いていておりこうな
ネコちゃんですねと言葉を交わし、笑顔で応えてくれました。
交通量は少ないとは言え4ｍ道路をリードもつけず車に怯えることもなくご婦人に
寄り添うように歩く親子ネコにはほんと感心していました。
それからまもなくネコ好きのカミサンの友人からあのネコおばあさんが道路で倒れていた
ところを発見され、救急搬送されたとの連絡がありました。
それから急速にあのおばあさんの置かれていた境遇が次々と判ってきました。
戸建ての自宅に一人暮らし、電気・ガス・水道のライフラインは全て止められ、夜中に一人
近くの墓地にネコを抱いて座っていたとか、臭いおばあさんだとか、いつもネコを連れ歩いた気味の
悪いおばあさんだと・・・・・。
すぐ、あの親子ネコのことが気になりカミさんの友人と一緒におばあさん宅を訪れたところ
自宅に生活感は無く窓ガラスは破れ、庭にはネコ缶やキャットフードの袋が散乱した状態でした。
そこにあの親子ネコの姿は無く会社の行き帰りに何度か様子を見に行きましたが親子ネコ
の姿を見つけることは出来ませんでした。
何度か様子を見に行くうち、近所のおばさんが出てきてネコえさは置いていくなとえらい剣幕で
怒られてしまいました。
状況が判っていくうちにだんだん腹が立ってきました。
一人暮らしの老婆がライフラインを止められ、この寒空に彷徨っていたことを近隣住民は知っていたはず。
なのに、誰一人手を差し伸べる人間はいなかったのか！
そう思うと無性に腹立たしく、やり切れない気持ちでいっぱいになりました。
今思うと、おばあさんが連れていた親子ネコはきっとおばあさんに寄り添い、見守っていたのではないかと思います。
そして昨日、緊急搬送されたあのおばあさんが搬送先の病院で亡くなられたことを知りました。
今度の休日に生前、何も出来なかったおわびにおばあさんの家の庭のごみ回収をしようと考えています。

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