リキのお話し ★閲覧注意

2015年10月31日(土) 2015-10-31T23:20:53+09:00 413 / 6

可愛い２匹の錆び猫を見ながら
中学の時に飼ってたリキの事を思い出した。
猫好きさんには辛いお話しかも、なので
閲覧注意。＆長文。


小学生も終わりの年
兄貴が子猫を貰ってきた。
シャムの雑種のオス。名前はリキ。
膝に乗せるとぬいぐるみみたいで
本当に可愛いかった。

私の住んでた田舎は
まだ犬も放し飼いが普通で
犬は番犬、猫はねずみ避けとしての
家畜扱いが普通だった。

リキより先にいた犬のチビは
新入りをからかうように跳び跳ねて
あまがみしようとした。

とたんにリキは身体中を膨張させて
チビに猫パンチ。
それにびっくりしてチビは新入りに
圧倒された。

私は家族で一番小さかったので
チビはあたしをバカにしてたが
そのチビをリキはバカにしてた。
そしてリキは私になついてた。

うちはペットを家畜扱いしてたので
ドックフードやらキャットフードやら
一度も食べさせたことなかった

そして何故だか私はまるで
弟を世話するようにチビとリキのお世話をした

残った残飯やら漁師だった父親の捕った魚を
チビやリキにあげてた。
お味噌汁ご飯だけだと可哀想なので
いつも卵をこっそり一緒に煮込んで
あげたりしてた。
ちくわや蒲鉾をこっそりあげたりもした。

そのお礼に？リキはいつももぐらを
捕まえては畳に並べてくれた。

母親は
『猫が捕まえてきた時は
誉めてやらんといかん』
と言うので
いつも誉めてあげてた。


ある日うちのお米を保存する土蔵で
猫が子供を産んだ。
うちのリキはオスなので
野良猫のメスが産んだんだろう。

母親は
『目の開かないうちに川に流さんと』
と捕まえて川に流しに行った。
私は捕まえる所も子猫も流す所も
まったく見なかった。
ただ心のどこかでもしかしたら
あの子猫はリキの。。。

でも
私にはどうにもできない。
少しモヤモヤした。
だから子猫を見れなかった。



こうして２年がたった。
たまーにリキが帰ってこなくなった。

母親は
『猫は死ぬとき姿を隠す』
と言うのですごく心配した。

でもひょっこり帰ってくる。
ひょっこり帰って来ては玄関のドアを
開けてくれーと鳴く。
開けるのはあたしだけなので
いつも帰りを迎えるのはあたしだった。
だからリキはあたしの布団でしか
寝なかった。

夏はノミがすごくて、でも
暇を見つけては蚤取りをしてあげた。
痒くてたまらなかったけど
リキのノミだから平気だった。

ある日またひょっこり帰ってきたら
顔が２倍に膨れてた。

母親は
『マムシに噛まれたんやろう』
と言った

人間が病気でもめったに病院に行かない
いや、行けない貧乏だったので
猫を病院に連れていくという選択肢は
皆無だった。

あたしはリキの鼻の頭についてる
マムシの噛み後に吸い付いて毒を出した
いや。何も出なかったような気もする。
でも何かしてあげないと怖くてたまらなかった
顔は引っ掛かれて傷だらけになったけど
泣きながら
『駄目で！死ぬんで！毒なんやで！』と。
そして鼻になんの薬かわからないけど
怪我したとき使ってた黄色い粉をつけた。
３日ほどリキは寝てたが
そのあと鼻にキズを残して元気になった。

畳にはヒヨドリが置いてあった。

チビと散歩に行くときはリキも付いてきた
レンゲ畑でチビが跳ねてその後ろから
リキが跳ねて。
川沿いで寝っ転がってチビとリキと寝た。



暑い夏の日が来た。
しばらくリキを見てなかった。
自転車で帰ってきて暑くて
扇風機を独占して涼んでた。
母親が
『猫が死んじょんでー』
と言った


稲を干す為の竹竿の束を
立て掛けた上で竹に刺さるように
横たわり死んでいた。
納屋が臭いのではしごで調べた母親が
発見した。

あたしは

うそや！！！！と叫んで
はしごを登った。
お腹には虫がわいていた。

いやや！！！いやや！！
やけど抱ききらん！！！
リキじゃない！見きらん！

中学生のわたしはリキを抱いて
おろしてやる事ができなかった。

あんなに大好きだったのに。
あたしにだけなついてたのに
最後を見送ってあげれなかった。
本当に好きなら抱けたはず。
抱けない自分を責めた。

それから２年後
チビがフィラリアになった。

目に沢山小さい虫が沸いては
ピンセットでとってやった。
回虫がお尻から出てきては
とってやった。
お腹は大きくなりでも
あばらは浮いて出てきた

お芋やら柔らかく煮てすりつぶして
食べさせた。
寝たきりになっても体をふいて
お世話した。
リキの最後を看取れなかったお詫びも
兼ねていたのかもしれない。

母親は
『どうやってももう助からんわ』
と言った。


でも
あたしは助かる方法を知ってた。

病院に連れていくこと。
でもあたしにはそれは無理だった。

ある日帰ってきてチビに
ただいま、と声をかけて
背中を撫でて着替えにあがったら
母親が
『犬が死んじょんで』
と言った。

うそや！！！！！
駆け寄ったらもうチビはこっちを
見なかった。
まだ暖かかった。
冷たくなるまで抱いた。
埋める瞬間まで抱いた。

そして
今度生まれ変わったら
うち以外の所に貰われるんだよと
そう願いながら埋めてあげた。

それから２度と動物は飼わないと
心に決めた。
貧乏人は飼う資格がない。
そして
無知な人も飼う資格がない。


チビ
リキ

あんたたちの飼い主があたしで
ごめんね。



そして今
縁があって20年以上ぶりに
また猫を飼うようになった。

今のあたしは貧乏で無知な中学生ではない。
でもあの時の後悔は絶対に繰り返さない。
それでも正解かどうかはわからないけど
今の家族で命を生命を共にして
暮らしていこうと思う。

今ならリキの嫁も子供も全部育てる。
今ならお腹に虫の沸いたリキも抱ける。
だから、いいよね？リキ。