姉御の入院

インターフェロンを打ってもらって食欲を戻していた姉御『世唯ちゃん』でしたが、涙からくるものなのか鼻水もひどくなり、月曜からほとんど固形のご飯を食べなくなりました。唯一進んで食べたのはちゅ～る。もうちゅ～る頼みでした。
昨日はかかりつけの病院がお休みで、うろたえて他の病院へ電話して色々相談し、結局次の日朝一でかかりつけの病院へ行くことにしました。

今日は朝から「遅れて行きます」と職場に連絡し、病院へ。
急激にご飯を受け付けなくなったので、食欲不振が内臓からくるものなのか、歯からくるものなのか血液検査をしてもらいました。結果、内臓には問題なし。やはり原因は歯でした。
抜歯するにしても、この２日間水もあまり飲めていなかったので点滴で状態をよくしてから・・・ということになり世唯ちゃん今日から入院です。

世唯ちゃんが調子を崩しだしてから私が思っていたことは
『ごめん！まだお母さんを連れて行かないで！』ということでした。
どういうことかと言いますと、話が長くなりますので、お時間があればお付き合いくださいませ。

昨年の春、私は心身ともに疲れ果てていました。
休みの日はほぼ家で寝て過ごし、月曜になれば負のオーラ全開。
そんな日々を過ごしておりました。

ある休日、ふらっと散歩にでかけると、いつもは通らない道で猫に出会いました。
そこは遊歩道になっていて所々にベンチがあり、そのベンチの一つにシートがかぶせてありその下に猫が住んでいました。
その頃の私は、地域猫やTNRなどの言葉も知らず、単純に『あ！猫だ！可愛いな～♪』ぐらいのことしか考えていませんでした。

心身ともに疲れていた私は、そこに通うようになりました。
そのシートの下に住んでいたのは、膝に乗ってくるぐらい人懐っこい茶白のオス猫でした。その茶白にご飯をあげている人がいて、そのご飯目当てに他に３匹の猫がその周りでのんびりしている状態でした。その３匹の中に世唯ちゃんがいたのです。

その３匹は『ちょっとびびりだけど触るとコロンコロンするオスの黒猫』『びびりで中々触らせてくれない世唯ちゃん』『全然触れない耳カットのあるメスのザビ猫』という顔ぶれでした。
茶白も黒猫も去勢しておらず世唯ちゃんも避妊していなかったので、一度世唯ちゃんのお腹が大きいかも・・・？と思ったこともありましたが、とにかく無知な私は『可愛い子猫が生まれたら良いな』なんて思っていました。

その後、いつの間にか世唯ちゃんのお腹はへっこんでいました。
その頃から、地域猫やTNRなどの情報を調べるようになり『ここの猫たちはこのままにしておいてもいいのかな・・・』と考えるようになりました。
ただ、その頃の私はペット不可の賃貸に住んでいて猫を連れて帰ることもできず、ただただ休日に出向いては猫を眺めて癒されつつ悶々としていました。

そんな中、世唯ちゃんのお腹がまた大きくなっていることに気が付きました。
昨年の春だけで恐らく二度目の妊娠です。
この時も『なんとかしてあげられないだろうか・・・』と思いつつも、結局何もしないまま時間が過ぎていきました。世唯ちゃんの妊娠を知っていながら私は何もしなかったのです。

ある日その遊歩道沿いにあるホームセンターの段ボールの中に「生まれたての子猫がいる」とお店の人が言っているのを聞きつけました。
まさか！と思った私の予感は的中しました。
世唯ちゃんの子です₍世唯ちゃんのお腹がへっこんでいたので₎。
世唯ちゃんが生んで育児放棄したのか、心無い人が段ボールに入れたのか、真相はわかりませんでしたが、とにかくへその緒でぐるぐる巻きにお互いが絡まっている子猫を放っておけず、ホームセンターの人に箱をもらい動物病院へ連れて行きました。

子猫は４匹、その内１匹は見つけた時にはもう亡くなっていました。
他の３匹もへその緒で絡まっていたため、足が変色し「命が助かっても、足に後遺症が残るかもしれない」と言われました。

猫と暮らしたいと本格的に思うようになっていた私は、ペット可賃貸に引っ越したばかりでした。
子猫へのミルクの与え方を教えてもらい、家へ連れて帰り、平日で私が仕事の間は母に子猫のお世話を頼むしかない・・・と考えていました。

でも、３匹の子猫は刻々と弱っていきました。
最初に行った動物病院とは別の、家の近くの病院₍今のかかりつけ₎へ行って、再度ミルクの与え方を教えてもらいました。
でも、子猫の命を救うことは出来ませんでした。

もっと子猫の育て方に慣れている人に連れて帰ってもらっていれば・・・

世唯ちゃんが生む前に保護して安心できる環境で出産できていれば・・・

そもそも私がさっさと世唯ちゃんを避妊していれば・・・

子猫への懺悔の気持ちしかありませんでした。
でも、くやんでも子猫は戻ってきません。

それで、世唯ちゃんを保護する決心をやっとしたのです。
『助けてあげられなくてごめんね。お母さんを預からせてもらうね。大切にするからね。』実家の庭に子猫たちを埋葬し、手を合わせてそう報告しました。
ちなみに子猫たちを埋葬した場所は、実家の歴代ハムスターが埋葬されている隣なので母は「ハムちゃんを追いかけないでね」とお願いしていました。

そんな経緯で世唯ちゃんは我が家にいます。
少しびびりだった世唯ちゃんは環境ががらっと変わってしまい、超びびりになり撫でたり一緒に遊んだりすることはまだできませんが、寝る場所とご飯と適度な室温の中で暮らしてもらっています（たまに胡兎ちゃんに絡ませて怒っていますが(;´Д｀)）

子猫ちゃんたちは早くお母さんに会いたいと待っているかもしれませんが、まだ世唯ちゃんにはのんびりした生活を送って欲しいと私は願っています。
今までご飯にはありつけてたとはいえ、夏の暑さや冬の寒さ、加えて出産による体力消耗に耐えて生き延びてくれた世唯ちゃん推定４、５歳。大変だったと思います。
だからこれからの時間は快適に過ごし、命を全うしてもらう。それが無知だった私のできる世唯ちゃんと子猫へのせめてもの償いだと思っています。

ちなみに、そのシートのあった場所は突然シートが撤去され、そこにいた猫たちはどこかへ散り散りになってしまいました。休日には様子を見に行っていますが、姿を見かけません。その猫たちのこともどうにかしてあげられなかったかと後悔ばかりです。

私みたいな中途半端な人間が猫を不幸にしているのかもしれない・・・とは思いつつ、やっぱり道で野良猫を見かけるとなんとかできないかと思ってしまう。
財力と時間があればなぁ～なんて思いながら、独り身のわが身にいはできることは限られている。なので、今は世唯ちゃんと胡兎ちゃんを大切にしていこうと思っている次第でございます。

子猫ちゃんたち、お母さんはもう少しこっちで快適に過ごしてもらうからね。
きちんと治療して元気になってもらうからね。