黄昏 - マタカイニさんの猫日記

黄昏

2019年5月30日(木) 169 / 0

初夏の陽気だったが、夕方から風が冷たい。

ものすごい映画を観てしまった…。「万引き家族」。
あまり関心がなかったが、WOWOWを録画していたのを思い出し、さらりと観てみようか…と軽い気持ちで。

映画なのでご都合主義的な展開ももちろんあるし、現実は小説より奇なりではあろう。しかし…
孤独と絶望。幸せとは？家族とは？
そして、生きるとは?
を問い突き詰めてくる凄い映画だった。

多頭飼育崩壊という言葉が最近生まれた。犬や猫を愛するがゆえに良かれとした行動が、知識や経験がないために、自分も動物達も不幸にしてしまう。
様々なケースがあるが、マスコミから見聞きする情報や映像は多面的な真実のほんの一部だろう。

昔、マザーテレサが「死にゆく人々の家」を作ったとき、賛否が吹き荒れたそうだ。マザーのもとでそこで働きたいと申し出てくる世界中のシスター達にも、マザーは厳しく諫めたらしい。やめたほうがいいと…。偽善や情熱では乗り越えられないと…。
マザーの死後、葛藤し悩み、神がいない世を嘆く手紙が発見されたりしました。

単純な善悪の二元論では、この世は割り切る事ができない。

不幸な犬猫を増やさないために多くの個人やボランティアさんが疲弊している。民間活動では、経済的にも精神的にも限界にきている。
人々の孤独もまた、深刻な問題だ。
私たちは、何をどこで間違えたのだろう…。
マザーの言葉を思い出した…。

「帰って、あなたの家族を愛してあげてください」

今、側にいる者を愛せないのに、なぜ大きな愛を施せるだろう…と。
人はみな、失ってから気付く。一緒に暮らした日々がどんなに幸せであったか…。忌まわしき記憶も含めて。

5 ぺったん