独居の飼い主の入院で考える

2022年7月5日(火) 432 / 2

以前、勤めていた病院のスタッフから、久しぶりに連絡があり…

「一人暮らしの高齢者が、外出先からそのまま急遽入院することになり、退院まで１ヶ月はかかる予定だけど、家に猫が１匹いる。」
と。

今はコロナのこともあり、入院中の外出や外泊はできない病院が多い。
猫は、突然帰ってこなくなった飼い主を、きっと訳も分からず、不安な気持ちで、お腹を空かせて待っていただろう。

たまたま入院先の病院のスタッフが、動物好きで、入院から2日後には家を訪問してくれたが、猫はどこかに隠れてしまって会えず。ご飯とお水を置いて帰り、患者さんの承諾を得た上で、動物病院で預かってもらうための手配もしてくれた。
人に慣れていない猫を病院に連れて行けないとのことで、搬送のお手伝いのため私も一緒に訪問し、カーテンの後ろで固まっている猫を発見。抱っこもさせてくれる、大人しくて可愛い子だった。
家はきちんと整理整頓されており、大切に猫のお世話をされていることがわかる。
その２日前に、病院スタッフさんが置いていった多めのご飯を完食しており、おしっこやうんちにも問題なし。何かあれば病院に連れていくことも出来そう。
飼い主以外の人や他の動物ともほぼ接触したことのない猫には、病院で過ごす方がストレスが大きいと判断し、通える距離だったため、私が毎日お世話に通うことにして、飼い主さんにも了解をもらった。

それから毎日訪問して、トイレ掃除やご飯の用意をし、写真を撮ってスタッフさん経由で飼い主さんに見てもらっている。
早く退院したいと言われているが、退院が延び、まだ１ヶ月以上はかかるらしい。

人生何があるかは分からないし、備えるにしても限りがある。

病院に、優しいスタッフさんがいて動いてくれたから、私もお世話に通うことが出来るようになったけど、そういう人ばかりではない。
一人暮らしで、介護申請も不要なくらい元気に過ごされていた方だと、家を行き来するような関わりのある人が全くいない場合もある。
万が一、話すこともできないような状態で病院に運ばれた時のために、「家に猫がいる」と書いた紙を常に持つなどの対応も考えないといけないかもしれない。
また、それを伝えられたとして、猫の面倒を見てくれる人はいるだろうか？
ペットホテルや病院に預けるにしても、もちろん費用はかかり、その準備も必要だ。
「動物を飼う」ということは、その命に対しての責任を持つということ。
自分に何かあった時の準備をすることも、命を守るためには必要なこと。

動物は、自分でご飯を用意することはできないのだから。

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