美容室の通い猫さん

2017年9月11日(月) 309 / 0

二ヶ月に一度行く美容室。
もう20年近くのおつきあい。
そこに数年前から、一匹の大きな猫が通ってくる。
クリーム系の色で大柄。尻尾も体もフサフサの長毛。ノルウェイジャンとかそっち系の血が入ってるっぽい雰囲気のMIXの男の子。
人見知りをせず、誰にでもすり寄ってくるフレンドリーな性格。
オーナーの美容師さんご夫婦は「かい君」と名付けて呼んでいる。本名は多分別にあるのだろうと思う。首輪はしていない。
結構年齢は高いと思う。少なくとも５歳以上。

美容師さん曰く、いつの頃からか店に通ってくるようになり美容室の裏口から入って、フロアに上がりこみソファの上に陣取ったりしている。
ネコ好きのオーナー夫妻はなんとなくご飯をあげるようになったとのこと。
桜耳ではないが去勢はされている。地域猫ではないようだ。
ノミダニもおらず、長毛なのにいつも毛並みは綺麗。夏場はサマーカットを施されているところから、彼はどうやら野良ではなく、多分どこかで飼われている外飼いの猫ではないかとのこと。
美容室以外にもどうやら出入りしている家が数軒あるらしく、各所で違う名前をつけられ、ご飯やおやつをもらっているらしい。
いつも決まった時間に来るかと思いきや、しばらく姿を見せないこともある。雨の日や夕方以降には絶対に姿を見せない。
ある時、怪我をしたのか、足に包帯が巻かれていたこともある。

恥ずかしながら、私はネコジルシに出入りするまでは外飼いの猫にどういうリスクがあるのかなどほとんど分かっていなかった。
自分の飼い猫は完全室内飼いだったし、外で飼うことは考えもしなかったので、当然ながら興味がなかったというのが本当のところだ。
だから、美容室にかい君がいると「あー、また来てるんだねー」ぐらいにしか思っていなかったが、最近では、ここでいろいろ読んで知ったことが頭をよぎり、美容師さんに「この子外飼いで大丈夫かな？怪我とか、変な人にいじめられたりとか心配じゃない？」と聞いてみたりした。

ところが、美容師さんから帰ってきた言葉は意外なものだった。

「大丈夫じゃない？うちの猫も外に出してるけど、別に病気も怪我もないし、長生きしてるし」

美容師さんご夫妻は自宅で三びきの猫を飼っているらしい。
去勢避妊はしているが、出入り自由にしているとのこと。そして、それを何も疑問にも思わないようだった。
昔ながらの価値観なんだろうと思った。
地域猫の話や、病気の話などしてみたが「へー！そうだったんですか！知りませんでした」と本気で知らなさそうだった。

美容師さん宅の猫も、通い猫のかい君も、今の所は時に何もなく平和に過ごしているけど、それって本当は物凄く運のいいことなんじゃないのかなあと思う。
美容師さん夫妻も、かい君の飼い主さんもネコジルシにいる人たちほどは、いろいろ知らないのだろうなという気がした。

二ヶ月に一度しか出入りしない客の立場としては、あまり突っ込んだ話をするのも憚られるので、雑談程度に話題を出して、何とか外飼いのリスクなどを彼らに知ってもらえればいいなと思う。

とりあえず、今月もかい君は元気だったのでちょっとホッとした。

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