天使は夜風に乗って。

2012年7月27日(金) 358 / 2

レントゲンに写った食道は奇形の血管に締め上げられ、胃袋には何にも入っていない。締め上げられた食道から上の部分は、口から入ってきた食べ物によってひろげられて、胃袋みたいに大きくなっていた。

胃袋には、締めつけられた食道からはほとんど1敵の栄養も届いていなかった。みいちゃんはただただ空腹で、必死で口から食べ物を詰め込んでいた。

毎日、だんだんと衰弱してゆく小さなからだ。

前の晩もその前の晩も、ずっとお腹がすいていて　鳴いてご飯を欲しがった。

お腹を空かせて鳴く仔を、かわいそうで見ていられない、とてもつらい。
小さじ1杯のミルクも、最後にはすべて吐き出してしまう。
何もしてやれない自分の無力さに、辛さがのしかかる。

吐き出すとまたお腹がすくからまた鳴く。大きな声で私に鳴いて訴える。
哀れすぎて見ていられないから　気を紛らわすためにベランダに出て、小さなみいちゃんをりょう手のひらに乗せて夜風にあてる。

夏の夜風は優しくみいちゃんの気を紛らわせてくれた。

空腹のまま、鳴き疲れて　眠くなってゆく。。。
夜の優しい空気が、みいちゃんのマシュマロみたいな体をなでてくれた。

翌日、レントゲンを見たお医者さんが、「こんなに深刻な心臓疾患の仔は見たことがない」とおっしゃって、衰弱してゆくみいちゃんを見て「かわいそうで忍びない。私に預けてほしい」　と言ってくださった。

一晩中、ぶどう糖点滴をしてがんばって生きていてくれた。

昨日の午後６時、病院に逢いに行ったら　みいちゃんは力なく点滴を受けていた。

声をかけると、パッと目を開いて私を見てくれた。精一杯の力を出して私の伸ばした指にあごを乗せる。なごり惜しくてしばらくなでていた。

これが最後のみいちゃんの姿になると感じた。

昨晩　やさしい夜風に乗って、みいちゃんは空へ行った。

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