
実家の外猫ポチは、近ごろ家の中で過ごす時間が長くなっている。以前は、家の中に入れようとしてもあまり入りたがらなかったのに、遠慮していた内猫のネロがいなくなったからか、去年若い雄のタマが外猫の一員に加わったから外の居心地が前ほどよくなくなったのか、老体に家の中の暖かさが心地よくなったのか。
5、6年ほど前に家にやってきたポチは年齢不詳であるけれど、毛並みなどあまりよくないから、それほど若くはないだろうと思う。猫は、人間ほど寄る年波が顔に出ない。何年か前に20歳で大往生を遂げた散歩道のクロちゃんは、私が相手をしていた頃すでに16、17歳になっていたのだろうけど、そんなことは微塵も感じられなかったから、ポチもそれなりに年を取っているのかもしれない。家に来たときに比べると、近ごろ、体格が少し頼りなさげになった。
おじいさん猫だけれど、甘えん坊である。ポチ用のピンク色の毛布をよく両前足で揉み揉みしているから、毛布の手触りからお母さん猫の柔らかいお腹を思い出して、子猫に戻った気分なのだろう。そういうときに背中をなでてあげると、「うにゃー」ととても甘えた声を出す。
新聞を読む母の横に座ってこっちを見ている目が、照明が薄暗いので黒目がちになって、周りの顔の毛がばさばさしているぶん、よけいに瑞々しくきれいに見える。呼んで欲しいのだろうと思ったので、ポチ、ポチと呼ぶと、いつもはそんなことはしないのに、珍しく机の上に上って私の座っている前にまで渡ってきたが、私の横にはすでにデビンちゃん用の猫ベッドが場所を占めていて、ポチの寝られそうな隙間はなかったので、そのままUターンして、母が机の上に広げている新聞の、ちょうど母が目を落としている記事の上に座り込んだ。
仕方がないので母は読むのをあきらめたが、みんなに愛されているポチである。
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