今年の5月で15歳10ヶ月(人間年齢だと約80歳)を迎えたユーリくん。

大病もせず食欲もあり、足腰も丈夫で15歳とは思えないほどの若々しさを維持しているように見えていたのですが…
3月半ば、突然倒れて死にかけました。
瞳孔が開いていて意識もなかったので正直もうダメかなと思ったのですが、母の必死の呼びかけが功を奏し、三途リバーから戻ってきてくれました。
忘備録も兼ねて、倒れた経緯や手探りの介護生活、現在のユーリの状態について書き綴りたいと思います。
‖ めまいのような症状をきっかけにタワーから落下 ‖
最初の異変は、3月13日(木)の午前中でした。
11時頃、私が台所で洗い物をしていると、リビングのタワー最上段で寝ていたユーリが目を覚ましました。

「おはよう、ごはん食べる?」と声を掛けながらユーリの顔を見ると、あれ?何か顔つきがおかしいような気がする…。
違和感を覚えたので洗い物をやめ、手を拭きながらタワーから降りようとするユーリの様子を見ていました。
すると、ユーリの目が突然うつろになったと思った瞬間に頭がグラッと傾き(めまい?のような感じ)、ひとつ下の段についていた両手からは力が抜け体を支えきれず、150cmの高さから床へ頭から落下してしまいました。
「ユーリ!!!!」
急いで駆けつけると、落ちたショックで呆然と床に寝そべっていました。
どんな態勢で着地したのかは見えなかったけれど、落ちた際「ドサッ!」という鈍い音がしたので受け身は取れず頭を打ったのかもしれない。
下手に動かさない方がいいだろうと判断し、その場で異常がないか確認することに。
「ユーリ大丈夫?!」と顔をのぞいて声掛けすると、目線が合い、意識もハッキリしていて眼振もなし。
続けて痛めた箇所がないか全身をくまなく触ってみたところ、痛がる様子は見られず骨折や捻挫はなさそうなのでひと安心。
5分後、スクっと立ち上がりトイレへIN。スタスタ歩いていてふらつきもなく、トイレの段差も軽々乗り越え、おしっこにも異常は見受けられませんでした。(ホッ)
もし頭を打っていた場合は時間が経ってから異変が起きる可能性があるだろうから、注意深く見守ろう。ひとまず無事で良かった。
ひとつ気に掛かるのは、タワーから落下する前に起きた「めまい」のような症状。
めまいではなくたまたまふらついただけなのかもしれないけど、過去にこんなことはなかったからすごく嫌な感じ…。
その後はめまいのような症状はなく、いつも通りタワーを登り降りし駆け足も軽快で、カリカリもしっかり食べ、落下のダメージに伴う異変は見られないまま日常生活へと戻りました。
‖ 更なる異変… 咀嚼出来ない ‖
翌3月14日(金)の朝、また異変が起こりました。
朝ごはんのカリカリを食べようと口に入れるものの、なぜか上手く咀嚼出来ない様子。(人間が熱い食べ物を口に入れた時にハフハフする感じに似てる)
ものすごく食べづらそうで、しばらくすると食べるのをやめてしまいました。昨夜までは普通に食べていたのに一体どうしたのだろう。
サイズが小さければ食べられるのではと思い試しにカリカリを1/4サイズに包丁で刻んで与えてみたものの、やはり上手く咀嚼出来ずハフハフしていて仕方なく丸飲みする感じ。飲み込めないわけではないので嚥下障害ではなさそう。
次にペースト状のちゅーるを与えてみたところ、こちらは問題なくペロッとたいらげました。つまり「固形物を咀嚼する」という動作だけが出来なくなっているらしい。
ということは、口腔トラブル?
さっそく口の中をチェックしてみたけれど、歯茎の腫れはなく口内炎も無し、歯が抜けそうでグラグラしているわけでもない。
うーん、口腔トラブルじゃなさそう。年寄りだから噛む力がガクッと落ちちゃったのかな。昨日タワーから落下したことが影響してたりしないよね…?一時的な症状の可能性もあるし、ちょっと様子見しよう。
とにかく、カリカリの代わりになるペースト状のごはんを用意しなければ。急ぎホームセンターへ行き、ちゅーるの総合栄養食(ちゅーるごはん)を買ってきました。
(とりささみバラエティもあります。700円位)

偏食なので気に入ってくれるか心配だったのですが、朝ごはんがほとんど食べられず空腹だったこともあり「美味しい!」とモリモリ食べてくれました。
気に入ってくれて良かった、しばらくはこのちゅーるごはんを主食にしよう。
週明けも咀嚼出来ないようなら、念のため病院へ連れて行かないとな。
‖ 突然倒れ、意識不明に… ‖
タワー落下事故から2日後の3月15日(土)の夜、事態が急変しました。
ユーリは「21:30頃になるとリビングの隣のパパ部屋へ移動し、ベッドの上に座ってスマホタイムを楽しむパパの足の間に挟まり、毛づくろいをしてまったり過ごす」というのがルーティンなのですが、この日はいつもの時間を過ぎてもリビングの床に置いてある猫ベッドで寝ていました。
(あれ、ルーティンが崩れるなんて珍しいな)と気にはなったのですが(眠くて動きたくない日もあるだろう)と思い、そのまま寝かせておきました。
そして23時過ぎ、まだリビングで寝ていたので「ユリくん、そろそろあっち(パパ部屋)に行こっかー」と声を掛けながら起こしました。
眠たそうに目を開けたユーリが猫ベッドから立ち上がりパパ部屋へと歩き出したとき、ふと違和感を覚えました。
あれ?なんか目がうつろだな…そう思った瞬間、ユーリの瞳孔がパッと開き、プツンと糸が切れたかのように
バタッ
私の目の前で、力無く床に倒れました。
「ユーリ!!!!」
顔をのぞきこむと、完全に瞳孔が開いていて意識がない。息はしてるけど、心臓がドドドドドドドドドドと異常な速さで動いていて、深刻な状況であることを物語っていました。
え、え、え、嘘でしょ?
「パパ!ユーリが倒れた!!!」
悲鳴のような叫び声を聞いたパパが駆けつけるも、ユーリはピクリともしない。
硬い床に寝かせておくわけにはいかないので、ソファに毛布を敷き、ユーリをそっと抱き上げ移動させました。
「ユーリ、ユーリ、しっかりして!!!」
まったく動かない体と生気がなくなった暗い瞳… さっきまでいつも通りの日常を過ごしていたのに、何が起こったの?
あまりにも突然訪れた我が子の命の危機に動悸が激しくなり、同時に涙もブワッとあふれて止まらない。
でも、頭の中は意外と冷静で(やっぱりタワーから落ちたとき脳にダメージを受けてたんだろうな、脳梗塞みたいな感じ?助かるのかな、この世とあの世をさまよっているなら呼び戻さなくちゃ、じゃあどうしたらいい?)そんなことをグルグル考えていました。
意識がなくてもきっと耳は聞こえているはずだから声掛けは続けよう。そうだ、ユーリが大好きなブラッシングで刺激を与えてみたら反応があるかもしれない。
「パパ!ゴシゴシブラシ持ってきて!早く!それから手足さすって!刺激与えて呼び戻すから!」
優しくブラッシングしながら「ほら、ユーリの好きなゴシゴシだよ、気持ちいいねー」と声を掛けるも、反応はなし。
諦めてたまるか。
‖ 意識不明のまま1時間が経過…からの復活劇 ‖
無心でブラッシングを続けながら、とりとめもないことをずっと話しかけていました。
「最近天気悪いから日向ぼっこ出来てないけど、週末には晴れるから日向ぼっこしようね」
「そういえば注文してた爪とぎ明後日届くんだ、ユーリが使ってくれなきゃママ困っちゃうよ」
「目が覚めたらユーリの好きな味のちゅーる食べようね、早く起きて」
いろんな思いが駆け巡り涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながらも、諦めずに声を掛け続けること1時間。
しかしユーリの意識は戻らず、相変わらず力無く横たわったまま。もう目が覚めないのかな…悲しみに襲われたその時でした。
なんと、しっぽがピクリと動いたのです。
!!!
「ユーリしっかりして!ママの声聞こえるでしょ!戻っておいで!」
しばらくすると私の声に呼応するように、しっぽがゆらゆらと動き始めたのです。
良かった!戻ってきてくれた!!!
まだ体は動かないようだけれど、一生懸命しっぽを動かして返事をしてくれる姿に涙がぶわっとあふれました。
そして、しっぽが動き始めてから30分ほど経った頃、更に事態が動きました。
1時間以上も意識不明だったというのに、突然ユーリの目に力が宿り、頭を持ち上げ立ち上がったのです。
!!!!!
あまりの急展開にビックリしつつもとっさに体を支えると、頭が揺れ瞳孔が開き手足もガクガク震えている状態にも関わらず、歩き出そうとするではありませんか。
「ユーリ!大丈夫?!急に動いちゃダメだよ!」
制止するも、ものすごい力で私の手を振り切りソファから降りようとしたので(何か理由があるのかもしれない)と思い、そっと抱き上げて床に降ろしました。
今にも倒れそうなほどグラグラした体を支えてやると、なんと近くのトイレへ向かってヨタヨタと歩き出したのです。
あ、おしっこしたかったのかー!
抱き上げてトイレの中に入れてあげると、おしっこを勢いよくジョジョジョジョー
死にかけてたのに自力でトイレに行けるなんてユーリすごい…!
感動しつつトイレから出してあげると、今度はパパ部屋に向かってヨタヨタと歩き始めました。
次はどこへ行く気なんだろう??
倒れないようユーリの体を両手で支えながら着いていくと、パパ部屋に置いてある自分のベッドに行こうとしているらしい。
ユーリのベッドは、パパ用ベッドの横の棚(90cm程)の上に設置しているため高台にあり、登りやすいよう踏み台とスツールを組み合わせて階段状にしてあるのですが、今のフラフラの状態ではもちろん登り降りなんて出来ないし、何よりフラついて高台から落ちたりしたら危険すぎる。
しかしユーリは「そこのベッドに行きたい!」ということしか頭にないようで、制止してもすごい力で抵抗し突き進むような状況。目がイっちゃってて正気じゃないんです、凄まじい執着。
とりあえず目的を達成させてあげれば満足するだろうと思い、抱き上げてベッドに乗せてあげると、案の定、満足した様子で少し落ち着きました。
そしてベッドに横になろうとしたものの体幹がやられてしまったらしく、ゆっくり寝転ぶことが出来ず立った状態から勢いよくベッドにドサッと倒れこみました。
おーっと!体支えておいて良かった…。
高台で過ごすのは危険だけど、私がずっと見てればいいか。登り降りも抱っこしてあげればいいしね。まずはユーリの意思を尊重してあげよう。
ユーリの状態を確認すると、いまだに瞳孔が開き目が爛々としているうえ心拍も速いけれど、自分のベッドに横になれて安心した様子。しばらくすると眠りにつきました。体が普通じゃないんだもん、疲れたよね…。
目覚めてから怒涛の急展開でハラハラしたけど、倒れる前の記憶はちゃんと残ってるみたいだし、フラフラだけど自力で歩けるし、おしっこも出来たし、ひとまず大丈夫かな。
今後どうなるかわからないけど考えても仕方がないし、なるようになるでしょう。
それにしても、ユーリの生命力すごすぎる…!!
‖ 一段落し、夫に今後の介護について諭すけれど先が思いやられる… ‖
ふと時計を見ると、時刻は午前2時を回っていました。倒れてから3時間も経ってたんだな…。
パパは自分のベッドの上に座りユーリの姿をボーッと見ていました。ちなみに、終始グスグス泣いてるだけで何の役にも立たず。(コラ)
「ユーリは私が看てるからもう寝なよ、何かあれば起こすから」
「いや、もう眠れなくなったから俺も起きてる(グスッ)」
イラッ
「二人で起きてても仕方ないでしょ。私はしばらく介護で体力消耗するだろうから、私の体力が限界にきた時のためにパパは寝られる時はちゃんと寝て体力温存しといてよ。二人で共倒れになったら誰がユーリの世話すんの」
「確かに…(グスッ)」
「これからユーリがどうなるか分かんないけど最悪の事態もあり得るんだから、一日一日大事に過ごすんだよ」
「はい…(グスッ)」
「つーか、眠れなくなるほど繊細じゃないでしょうよ!横になって電気消したらすぐイビキかき始めるわ!」
「そんなわけないじゃん。じゃあ、眠れないけどとりあえず横になろうかな…(グスグス)」
「はいはい、おやすみ。ユーリの様子がわかるように豆球はつけっぱなしにするからね」
ピッ(消灯)
「グスッ……ぐおーぐおー」
はぁぁ、パパとのやり取りでドッと疲れが…。なんとも頼りなく手のかかる夫で、この先の介護生活が思いやられるのでした。
・・・・
この日から始まった介護生活の様子とユーリの現状については、後編として近日中にアップします。
めまい、斜頸、認知症(高次機能障害?)、徘徊、粗相、食べ物に対する異常な執着など様々な症状に見舞われるユーリと、手探りでの介護に奔走し疲弊する母。そして災難に見舞われるポンコツな父。
そんな中、日が経つにつれて目覚ましい回復をみせてくれるユーリの生命力。
命と向き合い、介護の大変さを思い知った2ヶ月半の記録となります。
後編もご一読いただけたら嬉しいです。
(長くなっちゃってごめん寝)

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