でもまた少し暖かい日が戻ってくるとか。だといいな。
七七保、どこ行くのん?

「暫く、お家の中、騒がちぃて落ち着かへんかった…今日は三角ハウスに入っとくち。」
せやな、お日さん照って、ええ具合やろ。

「おい、七七保、家に『怪獣』がいたらしいぞ。」
「怪獣?」

「うん。家の中バタバタしてたんはそのせいニャ。」
「あ~、はしご持った男のチトが来て、屋根に上ったりちてた。あたちとりぃりぃ、奥のお部屋に閉じ込められたち…。」
家は築50年越えの昭和建築なので、屋根その他に小さな穴があったりします。
今年も初夏の頃、屋根裏にイタチか何か居るなぁと思い、最初は天井板や壁をドンドン叩いたらドドドっと逃げて行ったのが、そのうち慣れてしまって逃げなくなり、居つかれてしまった。さすがにこれはマズイわと、とうとう業者さんにお願いして追い出してもらいました。
忌避スプレーを巻く間とそのあと暫くはうちの仔たちは奥の部屋へ避難、閉じ込めです。屋根と壁の出入りしている穴を見つけて、ふさいでもらって一件落着。作業中は家中あちこちチェックするので、2~3日バタバタしてました。

「ニャんとか…ビジン、とか言う怪獣らしいわ。」
「美人?あたちのこと?」
怪獣やのうて、『害獣』な。
たぶん、イタチが2匹ぐらいかと思ってたんやけど…次の日の朝、な、なんと!屋根の上に!
ハクビシンが…よ、4匹!!
母親と子供3匹らしい。家に戻ってきたけど、出入り口が閉じられて入れないので、ベランダ下、屋根のあたりでキィーキィー鳴きながらうろうろしている。
そのうち一匹の子供が植木をつたって庭へ降りようとしたので、「こっ、こらっ!シッシッ!!」と怒鳴りながら近づいて棒を投げつけたのだが…キョトンとした顔をして、全然逃げようとしない。もう、手でつかめそうな距離なのに。
じっとこちらを見るクリクリお目目…不覚にも「か…可愛い…。」と思ってしまった。
ワタシのお花畑なアタマに、メルヘン的な声が聞こえてくる…。
「おばちゃん、なに、ちてんの?」
屋根の上からこちらを見下ろしている母親と子供たち。
「オカアタン、早よ、お家入ろ?」
「それがなぁ…入口ふさがってて、入れへんねん。」
「お家入れへんの?」
「あたちら、もうお家に帰れへんの?」
「ほな僕ら、これからどうしゅんのん?」
「困ったなぁ…。」
いや!ダメだから!絶対ダメだから!家に住まわせるわけにはいかないから!絶対!
屋根やベランダに居つかれては困るので、近くの窓から消臭スプレーを巻き、ベランダ板をバンバン叩き…。
そのうち皆どこかに行って、帰ってきませんでした。ああ…やれやれ。
そういえばアンタら、ふたりともお鼻がピンクで、そこだけハクビシンに似てるねぇ。

「誰が『ハクビシン』ニャ!」
「誰が『ハクい美人』ニャ!あっ、あたちか~。」



















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