鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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218日目「一番ビックリしたのは、“白兎と言えば赤色の瞳”というイメージ。」
2026年7月19日(日) 107 / 0

インターネットを漂流していると、自分の知らない世界に迷い込む事がある。
おすすめされた小説や漫画がお気に入りになったり、憧れの絵師さんの真似をして絵を描き始めたり等、学生の時にネットに漕ぎ出していなければ縁のなかった物が沢山あるくらいだ。

…当時、母とは離れて暮らしていたので、携帯電話の使い放題プランの割引前の金額を更新しては請求書を片手に母に報告をする為、電車とバスを乗り継いでいたのが懐かしい。

「はい、今日のオヤツよ。」

汗だくの母から手渡されたエコバッグの中を漁り、オヤツらしき物が入っている袋を取り出す。
他の細々とした物も出してから、空っぽになったエコバッグを振ると3号がテケテケと走ってきた。

「んにーい!」

広げたエコバッグに飛び込む3号を持ち上げ、膝の上に置く。
ガサゴソと歩き回る気配を感じながら、パッケージを読み上げた。

「…揚げパン?」

「そう、食べた事なかったんでしょう?」

「うん。多分、初めて見た。」

「お母さんだって、一回も食べた事がないわよ。」

学校給食の人気ランキングの一位でよく話題になっている揚げパンだが、私は一度も見た事がなかった。
そもそも、揚げパンという食べ物が存在していた事もネットで目にするまで知らなかったくらいだ。

…と言うか、私が生まれ育った地域は給食のバリエーションが異常に少なかった(らしい)。

カレー(ご飯よりコッペパンとの組み合わせが多い)やフルーツポンチ(ほぼ杏仁豆腐)のような有名どころは流石にあったが、年に一度のローストチキンや凍ったアセロラゼリーやオレンジゼリーの方が人気だったので好物の話題には上がらなかった。
そして、ソフト麺やワカメご飯のような物は一切なかったので揚げパンと同じく“何、ソレ?”という味の想像すらできない有様である。

「ちゃんときな粉が付いている物を選んできたのよ。」

シャワーを浴びた母が紅茶とコーヒーを持ってきてくれたので、袋を開封して揚げパンをお皿の上に乗せる。
見た目はシンプルなコッペパンだが、薄っすらときな粉がまぶされていた。

「…いただきます。」

まずは、一口。
給食の味が分からないので何とも言えないが、なかなか美味しい。

「…何か、ミスタードーナツに売ってそうな味だね。」

「ポン・デ・リング?」

モショモショと噛みちぎりながら、給食の話に花を咲かせる。
私の場合、“マグロの竜田揚げは美味しかったが、サイコロサイズで一人三個だけだったのが不満だった”や、“20人しかいない同級生全員がレバーを知らなかったので、鶏肉を白色の美味しい肉、レバーを黒色の不味い肉と呼んでいた”辺りが鉄板のネタだ。

「どうだった?」

「うーん、美味しいけど好物ではないかな?」

「そうよね、お母さんもレーズンパンの方が好きだもの。」

「二年生の時に一回だけ出たニンジンパンの方が甘かった気がするし…。」

「…お母さん、ニンジン嫌いだから揚げパンの方が良いわ。」

何故、その一回だけ橙色の丸いパンが提供されたのかは不明だが、コッペパン以外の物が小学校の給食に出た唯一の記憶なので強く残っていた。
しかし、週三で食べていたコッペパンの味変が月に一回ずつのマーガリンとイチゴジャムとチーズだけだったのは今考えると少し寂しい気持ちになる。
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