鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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238日目「叔母ちゃんと晩御飯を食べると日付が変わるまで居座るから、アニメが視聴できなくなるんだもん。」
2026年8月8日(土) 53 / 0

3か月ぶりに叔母がやって来た。
エアコンの調子が悪い間は寄り付きもしなかったのに、買い替えた途端に予定を捩じ込んできたのだ。

「チビちゃん、久しぶりー!」

早速、お気に入りの3号に手を伸ばす叔母。
身体を捩って抵抗する3号の声を聞き付けた1号が様子を窺うように傍に寄って来た。

「この大きい猫の名前は、何だっけ?」

「…1号。」

「“三文字”よりも、“二文字”の方が良かったんじゃない?」

ブログ内では数字で呼ばれている復興組だが、本名は勿論ある。
1号の名前は四匹の中では一番、長い歴史を持つ由緒正しき名前なので、私も母も機嫌が悪くなった。

「この小さい方の黒い猫の名前は?」

「…2号。」

「名前の略した方が男の子なのよねー。」

2号の名前は“四文字”だが、元の名前は“二文字”だったのであだ名で呼ぶ事が多い。
その呼び方が従弟が好きだったアニメの主人公の通り名と同じだったので、叔母には2号が男の子にしか見えないそうだ。

「大きい方の黒い猫は、相変わらず変な顔ね。」

「4号の鼻筋は、“コブラ・ヘッド”って言うんだよ。」

「名前は“ハマグリ”より強そうだけど、見た目は弱そうね。」

4号の横顔は、額から鼻先まで完璧な一直線なので小さめの耳まで含めると直角三角形のような形をしている。
そして、1号のヒゲの付け根は誰よりもまん丸でぷっくりしているのだ。

「3号はオジサンっぽさが少し減ったわね!」

“んにゃんにゃ!”と文句を言う3号を抱き直した叔母は、不機嫌な3号をあやすように揺らしている。
その近くで貶された4号が唸り声を上げているが、叔母は気付きもしない。

「はい、オヤツが出来たわよー!」

かき氷の準備を行っていた母が、コタツの上に氷が入った椀を運んで来た。
新しいエアコンで快適な室温を手に入れた私と母にとって、二週間ぶりのかき氷である。

「…平気なの?」

「何が?」

「頭が痛くならないの?」

恐る恐るといった表情の叔母に訊ねられて手元を見ると、母と叔母のかき氷よりも私のかき氷の減りの方が目立っている。
母も叔母も練乳の掛かった抹茶シロップのかき氷を口元や頭を擦りながらゆっくりと食べているが、私はイチゴシロップのかき氷が溶けない内に食べ終われるようにパクパクと食べていたのだ。

…私は自他共に認める程度には食べるのが遅い方なのだが、昔から冷たい物を食べる速度だけは皆が目を見張るレベルで速いのである。

「ソレにしても、凄い量のシロップね。」

「本当はブルーハワイと抹茶シロップだけで良かったんだけど、セットしか無かったのよ。」

「その割には、アンタの娘はイチゴシロップを食べているわよ?」

「え?だって、ブルーハワイよりイチゴシロップの方が残ってたんだもん。」

叔母に見えるようにシロップの瓶の向きを変えると、叔母はキョトンとした顔で瞬きを繰り返していた。
今日は何でも構わなかったが、何日か後の私はブルーハワイしか食べたくない可能性があったので、特に惹かれる物がない時は選択肢を多く残す事にしている。

「あ、そうそう!アンタに買ってあげようと思っていた物があったのよ!」

冷えた頬を温めるミルクティーを飲んでいた叔母が、これ見よがしにスマートフォンを差し出してきた。
私と母と似たり寄ったりな時期に叔母もスマートフォンを買い替えていたようで、自慢するようにスマートフォンを掲げた叔母に私と母もスマートフォンを掲げ返すという、子供同士のやり取りのような事をする人間を訝しげに見上げる猫達の視線が痛い。

「…鰻丼?」

「そう!前に買ってあげるって、言っていたでしょう?」

私は川魚が苦手な母の影響で、一度もウナギを食べた事がない。
私としてはネタになるので構わなかったのだが、叔母からすれば可哀想な事に感じるようだ。

「アンタは私と鰻丼とあなご飯を半分こ。ウナギが嫌いなアンタのお母さんにはあなご飯を買って来てあげるから、何日が良い?」

すでにお盆休みに入っている叔母は来週が良いらしいので、来週の木曜日にウナギデビューする事になった。
“8月中の土曜日の夜でも良い”と提案する叔母を止める為に私がアレコレと理由を付けている姿を無言で眺めていた母が、その真意に気付い瞬間に私に加勢し始めたのを見て“親子って、似るんだな”と思ったのは内緒の話である。
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ミクのパパ 2026/08/09

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