鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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263日目「探し物は、まだ見付からない。」
2026年9月2日(水) 68 / 1

ふと思い立ち、十年以上前に閉店した文具屋から持ち帰ったノートを探して荷物を漁る。
私が人生で初めてお給料を貰った施設には寂れた商店街の店主達が置いていった売れ残りが大量に放置されていた時期があり、その残り物達を未だに活用しているのだ。

…セッセと宝物を仕分けても下っ端の私が貰える頃(重役+同年代のローカルアイドルが漁った後、さらに年功序列でパートの奥様方が選り分けた物を時間外に後輩ちゃんと分け合っていた)にはロクな物が残っていなかったのだが、ソレはソレで面白い体験だったと思う。

「あら、懐かしい物が…。」

箱の中に無造作に突っ込まれていた物を取り出し、さらに入り込んでいた3号の脇の下に手を入れて持ち上げる。
ウニョウニョと身体を捩っているが、クルリとお腹を上に向けて指先で撫ぜ回すとダラリと抵抗を止めた。

「…はい、どうぞ。」

スマートフォンをポチポチしていた母に発掘した物を渡し、まだ手に持ったままだった3号を抱え直す。
あやすように頭を撫でると、ゴロゴロと喉が鳴り出した。

「あっ、コレは…!」

ゲームを一時停止してからスマートフォンをテーブルの上に置いた母は、歴代の愛猫達の写真を見下ろしながらニッコリと笑う。
整理しようと思いながら、忙しさを言い訳に後回しになっていた年代すらもバラバラの写真の中には沢山の猫達が写っていたのだ。

「可愛いよねー。」

「そうね、可愛いわねー。」

勿論、猫達の写真以外の物もある。
一番枚数が多いのは私だったが、私の周りには様々な動物が写っているので単体の写真はかなり少ない。

「知らない人もいっぱい居るね。」

「お母さんも上の世代は、よく分からないわ…。」

83歳で旅立った祖母が最高齢だったそうなので、私は祖母より年上の親戚とはほとんど交流がなかった。
幼少期に何度か会った事はあるのだろうが、写真の若かりし頃の姿に見覚えは全くないのだ。

「…猫も判別つかないな。」

「仕方がないわよ、生まれる前の物だもの。」

私が覚えているのは、3歳以降に一緒に暮らしていた猫達だけだ。
母の記憶を頼りにメモを取るも、世話を焼いてくれた猫達の事を覚えていないのは申し訳ない。

「あっ、お母さん!私は全く懐かしくないけど、お母さんは懐かしいかもしれない一枚があるよ!」

一際、古い写真を母に差し出す。
半世紀以上前に撮影された赤ちゃん時代の写真を受け取った母は、“お母さんだって、覚えてないわよ!”と笑い転げていた。
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