昔の話 - リトルミーさんの猫日記

昔の話

2011年3月10日(木) 485 / 7

かなり昔の話です。私が小学校三年の肌寒い雨の日に一匹の子猫を拾いました。
薄手の上着に入れて暖めながら帰ったのを覚えています。

「あ～、家に連れて帰ると婆ちゃんに怒られるな～どうしようかな～」
などと呟きながら、考えている間に家の前。
家の中を覗きながら、ミャーミャー鳴く子猫をなだめて居た所に
でた～！婆ちゃんです。鳴き声と私の様子を見て出てきたのです。

「猫、どうした？家では飼わんぞ」強い口調で言いながら
子猫の首をつかんでどうするかと思えば・・・・・
（うちの祖母はかなりの勝気と言うか気の強い性分でした。）
なんと、家の近所の田んぼに流れる用水路の濁流の中に
ぽーん、と投げたのでした。私は泣きながら雨の中、道越しになっている
トンネル状の用水路出口まで走って行くと
子猫が流れていって届かない。
可愛そう過ぎる、必死で走って、やっとの事で子猫を抱き上げました。
私も子猫もずぶ濡れです。

私が連れて帰らなければ子猫もこんな目に遭わずにすんだのに。
家はかなりの田舎で、家の裏の道を登っていくとみかん畑と畑だらけ。
そこに小さな小屋があり　私はそこで雨を凌ぐ事にしました。
でも、またまた婆ちゃん登場!!　
同じ事を繰り返してはと思い必死で逃げました。
私にはどうすることも出来ずよそのお家へおいてきてしまいました。

こんな事があって、家では飼えないと思っていたある日、父親がキジトラの子猫を貰ってきたのでした。名前は「チミ」初代から今の猫まで、
ずっと名前は『チミ』です。
あんなに嫌っていた婆ちゃんは・・・なぜか受け入れたのです。
きっと私の落ち込みようがかなり気になっていたのでしょう。

七年前に９７歳で逝った祖母は、杖をついてチミと散歩に行く事が日課と
なっておりました。
必ずチミが前を歩いて、祖母が着いて来るのを確認して進む、完全に猫のお世話になっていたように見えました。
祖母のお葬式の日　チミは家の塀に座り　じっと祖母の乗っている車の方を見ていました。その様子は祖母を見送っているかの様で、切なく涙が
溢れました。

私は祖母が嫌いだった訳ではありません。どちらかと言うとお婆ちゃん子だったので残酷な事が強烈に頭の中に残ってしまったのでした。

現在、田舎の両親と一緒にいるチミは二人の大切な家族でした。
そして、私達夫婦にムーと出会えるきっかけをつくってくれたのも
チミでした。

チミがいなかったら今の楽しい日々はなかったかもしれません。
そのチミが三日前に虹の橋を渡りました。
父はチミとの毎日の散歩を楽しみに
母は夜、共に寝ている事を自慢して・・・
「寂しい」を繰り返し言う両親にかける言葉が見つからず
「元気だして、また電話するわ」と受話器を置きました。
いつの間にか、チミ中心にして両親の生活が変わっていったのでしょう
私には猫は大変やからやめときなさいと言っていたのに・・・

有難うチミ！安らかに。　　　　　長文で失礼いたしました。

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