室内からベランダに出る扉は、私が在宅の場合は、夜でも少しだけ開けておきました。
それが、ビーを危険にさらすことになってしまったのです。
ある日、私はいつもと様子の違うシキの鳴き声で目覚めました。

何事かと室内を見回すと、ビーの姿が見当たりません!
どうやらベランダから落ちてしまったのです。
私の住む部屋は、2階ですが、建物の1階がすでに半階から始まる構造でしたので、ベランダの高さは2.5階です。
ベランダの下は1m程の草が1面に広がっていて、ビーがケガをしている可能性は低く思えましたが、小さなビーが居たとしても見つけられません。
公団自体もマンモス公団で、探す範囲は広大でした。
その日、私は仕事を休みました。
職場はすごく理解してくれる所で、「1日だけなら」と、快く休みをくれました。
私はその日、1日中公団中を探しました。
夜になると、早めに仕事を終わらせて手伝いにきてくれた先輩もいました。
しかし、その日ビーは見つかりませんでした。
シキも寂しそうに鳴き続けていました。
次の日は仕事に行きましたが、1日中ビーのことばかり考えていました。

仕事が終わり帰宅するのは21:30過ぎです。
公団の階段を上る私の耳に、一瞬ですが猫の声が聞こえました。
上からなのか下からなのか、響いて判りませんでしたが、たしかに階段に響いたのです。
2階に上るまでにビーの姿はなかったので、私は上に向かって駆け上がりました。
しかしビーどころか猫はどこにも見当たりません。
考え過ぎで空耳を聞いたのかと、2階まで降りた所で、また聞こえたのです。
今度はもっとハッキリと!!
その声は通常開いたままの重い重い階段の扉の後ろからで、私が「ビー?」と声をかけると、可愛いビー玉のような瞳が出てきたのでした。
部屋に帰ると、ビーとシキはじゃれあってしっかりと寄り添って眠りました。

そして私はドアをしっかり閉めるようになりました。



















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