忘れられないコの話～トラちゃんのこと

2018年9月6日(木)

ごめんね

367 / 2

子供たちの通う園の近くに、鶏を飼っているお宅があります。

入り口のところに、使い古した浴槽の上に板を敷き、その上に犬用の檻が置かれて。
その檻の中で茶トラ猫が１匹飼われていました。…飼われている？いや閉じ込められているに近い状態でした。

彼(タマタマありました)はおそらく、鶏の番をするため、猫避け？のために置かれたのでしょう。
猫トイレは掃除されることもなく、オシッコをした猫砂がうず高く山盛りになっていました。

近づくと、「触って、触って」と檻にすり寄ってきて。触るとブラシもかけられてもいないので、猫なのにごわっとしていました。

天気が良くない日だったか、子供が「なんでこの猫ちゃんずうっとお外にいるの？」と聞くので答えに困りました。

…動物虐待ってどこに相談したらいいんだろ。わかりませんでした。

ある朝、その家の人が茶トラくんにごはんをあげているのを見掛けました。
茶トラくんは大喜びでその檻の中でニャアニャア言いながら跳ね回っていました。
…どんな飼われ方をしていても、飼主のことは大好きなのか、と思いました。

ある晴れた冬の寒い日。
そのお宅の入り口には使い古した浴槽だけがありました。檻はなくなっていました。
…あ‼️と私は思いました。
子供は嬉しそうに「よかったねー、あの猫ちゃん寒いからオウチの中に入れてもらえたんだね」とニコニコしていました。
私は、もう寒さも暑さも感じず狭くて寂しい思いもしないですむ自由な世界へ旅立ったんだなと思いながら
「そうだね、もうあの猫ちゃん寒くないね」と答えました。

あのとき何ができたんだろう、どうすればよかったんだろう…いまだに忘れられません。

21 ぺったん