親父さんはお父さんと二人で、郊外の一戸建てに住んでいたんだ。
そしたらね、親父さんのお父さんが、突然、お家で死んじゃったのさ。
それから親父さん、一軒家に独りぼっちになっちゃった。
朝、会社に行く時も、帰宅する時も、誰もお家にいないんだ。
親父さん、寂しくって、会社のお友達に相談したんだよ。

最初はね、イヌを飼おうとしたらしいんだ。
でもね、折から空前のネコブーム。
お友達からは、イヌよりネコの方がいいよって言われたらしいよ。
エサとお水とトイレの世話だけで、何より散歩しなくていいって言われたのさ。

親父さん、当時は何も知識がなくてね、譲渡会なんてもちろん知らなかった。
だから、近所のホームセンターに行ったんだ。
2016年12月17日の土曜日だった。そこにボクがいたってわけ。

親父さん、ボクを見つけてひとめぼれしたんだ。
でもね、生き物を飼うなんてちょっとやそっとの決心じゃあだめだと言い聞かせて、ひとまず帰宅。
一晩、考えに考えてボクを迎えることを決めたのさ。

翌日、ホームセンターの開店と同時に親父さんボクに逢いに来たのさ。
そしたらね、ボク、昨日いたケージにいなかったんだよ。
ケージは空っぽ。
親父さん焦ったんだ。
売れちゃったんだあ!ってね。
でもボク、その時。お店の後ろの方で朝ごはん食べてたんだよ。

ボクは生後6か月、もう大きくなっていたんだ。
だからね、これ内緒の話だけど、ぼくね、当初価格の三分の一のお値段だったの。
失礼しちゃうよね。命をなんだと思ってるんだ!
ほら、漫画の「おじさまと猫」みたいでしょ?
でも、結果、ボクは親父さん家に来れてヨカッタと思っている。
親父さん、とってもやさしいからね。
最近のコメント