『彼女は安楽死を選んだ』

2019年12月28日(土) 623 / 8

※ちょっと暗いお話になりそうなので、
気分的にNGな方はお控えください…ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ

今日、TVの再放送で題記のものを観た。
…今年の６月にも観たんですが。
この内容に関しては、様々な考え方や意見があり。
私は肯定も否定もするつもりはありません。

もし言えるとするなら、
自分の終わり方は自分で決められるのなら、
それはそれでいいなぁ。
(できるものなら…。現実的には無理だろうけど)

もう治らない、先がもうあまりないとわかったら、
お世話になった方や会いたい方に直接『ありがとうございました』と言いたい。
この先も子ども(もしかすると猫も？)がお世話になる方には『どうかこの先、よろしくお願いいたします』と言いたい。

遺せるものがあるのであれば、きっちり伝えて遺された者が後に混乱しないようにしたい。
自分が入院の為に使ってしまうであろうお金を少しでも多く遺してやりたいな、とか。

私の母は卵巣癌で亡くなったのだが。
最期は都内のホスピスの部屋だった。
ある日、病院の屋上で父がポツリと呟いた。「…ママはあとどのくらい生きるのだろう」
生きられる、のではなく。
生きてしまうのだろう、という意味だ。

母は、保険適用されない○○療法など、様々なことをやった。
少しでも効くなら、良くなるならと、
私も日帰りで都内から福島市や甲府市まで
母のレントゲンや治療歴などを持って車をとばし、相談に行った。
入院すれば毎日会いに行き、
退院すれば毎日のようにいろんなところへ通院した。

食事療法もやった。
玄米ご飯を炊き、動物性のものを排除して
とにかくいいと言われるものを片っ端からやってみた。

父はまだ現役で働いていたから、
働いても働いても、治らない治療のためにお金が消えて行き、ホスピスに移ってからも多額にかかる入院費用に心も含めて疲弊したのだろう。

父の言葉を聞いたとき、私は怒った。
母に１日でも１秒でも長く生きていて欲しかったし、独りぼっちになりたくないと思ったから。
なんて酷いことを言うのだ！と思った。

私が居ないとき(父と週末だけ交代することにしていた)母の容態が…終わりに近づき、病院に緊急で呼ばれた。
「ママ、もう大丈夫だよ。もういいんだよ」と言って。
私は病院スタッフに「(医療機器を)外してください」と言った。
その言葉がずっとずっと、心に残ってしまって。今でも苦しい。

私がそう言わなければ、まだ生きられた？
…それはない。
でも。でも。あともう少しは。

もう少し…『生きられたかもしれない』
その時間は、母にとって幸せな時間か
苦しい痛みに満ちた時間なのか？

それはともかくとして。
私は母を見殺しにしたような
そんな気持ちにすらなるのです。

私たち母娘を知る人全てに、あなたは頑張ったよと言われても。
あの時のことを思い出すと、私はあの時正しかったのか？
母の望みは叶えてやれたのだろうか？と。

題記の『彼女』は自ら点滴のコックを回し、
自ら尊厳死を遂げた。
家族の前で、家族に見守られながら。
静かに息を引き取った。

それを難病で苦しみながらも生きている人に対する、自殺幇助を認めることなのではないか、とか。
介護に疲れて、親族の命を断ってしまう尊属殺人は普通の殺人よりも重罪なのに、とか。
様々な意見があったようだ。
亡くなる瞬間までも、映像で公開した是非もあったのかもしれない。

今年、私は１匹の猫を亡くした。
大切な大切な家族だった。

彼が病とわかり。
精密検査や治療を進める医師もいたが。

もし、投薬などですぐに快方に向かうようなのであればもちろんそうしただろうが。
どうもそうではないだろうと…感じた。

私は彼が生きられる時間を、
大切に過ごそうと思った。

入院や、治療のために時間を費やすのではなく。
彼と共にいつも通り過ごしたいと思った。

もしいつも通り過ごすことで、
快方に向かってくれたら…ありがたいなと。
心のなかではずっと祈っていた。

どなたかがコメントで
『死ぬのを待たれているようなのは嫌だと思うよ』と言ってくださって。
そうだなぁ、メソメソするのは止そうと。
前向きに考えて。

もし自分が不治の病だと知り。
もう残された時間が少ないと感じたら。
家族の心に残って生き続けたいと思うのではないか？

彼には負担なのは承知で。
半ば無理してキャンプに行った。
家に居ても、外でも、
ご飯を口まで運び、排泄のお手伝いをしなければならない状況は同じくことだと思ったから。(全く同じではないが)
そのくらい、もう終わりが近付いていたのだ。

母に対しても。
もっと自分が母を想ってやれる心の余裕があったなら。
最後に１度でも、家に一時帰宅して。
愛猫を撫でさせてやればよかったのかもとか。
(実際にはその時の住まいはエレベーターなしの古いボロ社宅だったので、どう考えてもできなかった)
車イスに乗せられるような状況の時に病院の中庭でもいいから散歩に連れ出してやれなかっただろうかとか。
本当は自宅で看取って欲しかったのではないかとか。
…そんな想いがあったのだ。

だから。

彼とこどもたちと、キャンプへ行けて。
想い出を作れたことは。
たとえ彼の寿命を縮めてしまうことだったとしても、後悔はない。
…と思いたい。

むしろ、母にしてやれなかったことを
彼とすることで(彼は猫だから喜んではなかっただろうが)
少しだけ心が開放されたような気がするのだ。

ペットの安楽死についても様々な考え方がある。
宗教的な考え方の違いもあるだろうし、
欧米とはやはり少し倫理観もズレがあるのかもしれないけれど。
これについても、是非を言う気はない。

とにかく彼らは死ぬことを恐れない。
生きることしか知らないからだと思う。
(死期は悟るのかもしれないが)
とにかく、生きようとすると思う。
誇り高く、生きようとすると思う。

私はどうだろうか…
少しの切り傷だけでもヒイヒイ言って。

もし不治の病だと。
生きているのが辛いほどの痛みや苦しみの毎日だと告知されたら。

どう生きられるだろうかと。
…誇り高く、最期まで生きられるだろうか。

こむすびたちがもう少し物事を理解できるようになったら、
ちゃんと話をしたいと思う。

安楽死はともかく。
尊厳死のことを。
…難しい話だが。大切なことだ。

『それ』がいつのことになるかは
誰にもわからないから。

できることを、やれるときに
教えられることを、伝えられるだけ
共に過ごすことで、
なんとなくでもいいから
こむすびたちの心に遺したい。

そんなことを考えている年末。

年賀状はとっくのとうに諦めた。
潔く諦めることも、時には必要よね(開き直り)。
…ていうか。ホントはね。
年賀状書く気持ちになれないの、喪中なキモチなの。

むぅの死から２ヶ月。