鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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157日目「新たな仲間は天敵だった!」
2026年5月19日(火) 88 / 0

母が猫草を買ってきた。
幼少期に私が強請った時は“ウチには必要がない物”と言ってキャッツテールを代替え品として買い与えていたというのに、何の気まぐれか栽培セットを手にドヤ顔を披露している。

「3号、お土産があったわよ!」

ゴソゴソとビニール袋を漁っていた3号にも見せつけているが、3号はそれどころではない。
3号にとって重要なのはビニール袋であり、その横にあるエコバッグも気になる存在なので早く中に入りたいのだ。

「ふーん、一週間から十日で食べ頃になるのか。」

「そう、成長がとっても速い植物なのよ!昔、育てた事があるけど、急に伸びるのが気持ち悪くて嫌いだったの!」

顔を顰めて説明する母に、子供時代の記憶が蘇る。
母が苦手な物だったから却下された、という真実を初めて知った。

「代わりに何を買ってくれたか、覚えてる?」

「赤色のキャッツテールでしょ?わざわざ繁華街の花屋で買ってきてあげたのよ!」

胸を張って宣言する母に、またしても新事実が発覚する。
私が妥協案として要求したのは件の動物病院の近くにあるピアノ教室の隣の花屋にあったキャッツテールだったのだが、時期の都合で枯れていたのか元気がなさそうだったので仕事帰りに適当に見繕ってきたそうだ。

…ちなみに、ピアノ教室が自宅で練習した成果を披露する場だった事を最近知った私のピアノの腕前は推して知るべしである。

「4号は分からないけど、1号と2号は食べてたかもしれないでしょう?」

時々、物足りなさそうな表情で何かを探す仕草をする1号と2号。
ゴミ箱をひっくり返してはビニール袋をペロペロと舐めようとする様子から、元飼い主の女性から猫草を与えられていた可能性が浮上したのだ。

「4号も貰ってたかもしれないけど、流石に植木鉢は渡せないよね。」

説明書を読みながら、開封する。
小さな種は細長く、まるでポップコーンになる前のトウモロコシのようだった。

「土が入ってるの?」

「ううん、何かティッシュペーパーの中に種を入れたみたいな感じ。」

計量カップで水を注ぎ入れ、フヨフヨと膨らむ土台を眺めてから窓辺に置く。
母が嫌がるくらい伸びるのが早いのなら、きっと退屈しないだろう。

…というのが、昨日の話。

「お母さん、知ってる?」

寝ぼけ眼で語りかけると、母はキョトンとした表情を向けてくる。
何に対しての問いかけなのかが分からないので、とりあえず続きを待っているようだ。

「…猫草ってね、“イネ科”なんだって。」

一瞬の間。
その後、母は慌てたようにスマートフォンをポチポチと突付き始めた。

「嘘ー!お母さんが前に育てた物は、イネ科じゃなかったわよ!」

ワタワタと焦る母を眺めながら、良い感じに冷めた紅茶を飲む。
母が焦っている理由は勿論、私がイネ科花粉症だからに他ならない。

「あちゃー、もう買わないわね…。」

「皆には申し訳ないけど、仕方がないね。」

私は検査できる花粉症の全てに引っ掛かっているが、その中で一番アレルギーの度数が高いのが、何を隠そうイネ科なのだ。
成猫の1号と2号と4号には最初で最後の猫草を味わってもらえるが、まだ子猫の3号が猫草を堪能できる日は永遠に来ないだろう。

「…あ、アルファルファだ!」

思い出した事でスッキリした母は、少しだけ機嫌が良くなった。
花粉が出る前に猫達が食べ切れば問題は無さそうではあるが、私には発覚しているアレルゲンを傍に置いておける程の勇気はない。
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