本当にあったこわい話

2014年7月31日(木) 400 / 10

うちには二年程前、友人がくれた、かまくらのような形をした、ドーム型の猫のおうちがあります。
当時、猫の飼っていないわたしがふしぎに思い、
「かわいいし、嬉しいんだけど、何で？」
と、訊くと、
「シチュー(フェレット)にあげて」
そうか、シチューにくれたのか。でも奴はきっと使わないだろう...。などと、せっかく頂いたにも関わらず、予想した通り、シチューはバリバリ爪を研いで、荒らすだけ荒らして長居はしません。
用途に困ったわたしは、
「それならインテリアにしよう」
と、姑息なことを考えました。何故姑息なのかと言うと、例えただ片付けるのが面倒で放置しているだけだとしても、
「使わないなら片しなさい」
「インテリアだから」
「前にあげたあれ、どうしてる？」
「インテリアにしてる。かわいいから」
などと答えておけば全てが許される(ような気もしなくない)言葉だからです。
なのでこの二年間、それは部屋のすみに寂しくほっとかれていたのですが、アルが来ることになり、これ幸いとホコリの被ったそれを洗おうとしたところ、思わぬものを発見してしまいました。

実はあう家はあたたかい季節になると、小さな羽虫が出ます。生ゴミ周辺を数匹飛んでいるので、殺虫剤をプシュー！っと、一吹きすれば大抵いなくなります。
でも今年は何かがおかしい。スプレーをかけても、しばらく経つとまた復活しています。
「一体どこから⁈ 巣でも作られたか⁈」
これは本格的な駆除を考えなければ、などと頭を抱えていた矢先、話は猫のおうちに戻ります。
何を発見したのか、率直に言います。ゴマです。
いいえ正確に言うのなら、白ゴマのような卵がびっしりくっついていたのです。
「ぎえぇぇぇぇぇえええ！！！！！！」
と、叫ばなかったわたしを誰か褒めてください。
すんでのところで悲鳴を飲み込み、震える手でゴム手袋を装着しました。泣きながらザブザブ洗いました。これでもかというくらい洗いました。十分な日干しをして、ファブリーズをかけまくって、ようやくもらった当初のような清らかさを取り戻したのです。

その甲斐あって、アルは中々気に入ってくれたようで、自分から中に入って満足気でした。

しかしここ数日の夜中、
「うーん、左頬が生温かい...」
と、目を覚ますと、何故か枕元にアルが丸まっていて、潰してしまうとかなわないので、そーっとガチ○ピンに戻し、わたしは二度寝に倒れこみます。すると、間入れず戻ってきます。
「なんでわざわざ顔の横にくるんだ？くすぐったくて眠れん！」
戻す。戻ってくる。戻す。また戻ってくる。
夜明け前に、子猫を相手取り、途方にくれ、
「もういい...布団で寝てもいいからせめて顔から下で寝てくれ」
長い攻防の末、妥協案を呈示しました。
「にー」
眠いせいか、アルは多少目つきが悪くなっていましたが、飲んでくれました。
あれから、脇の下辺りで寝てくれます。時々母の布団にも潜り込んで、一緒に寝ているようです、良かった良かった。