回顧録~あるワンコの話~最終話①

2017年5月3日(水) 163 / 4

思ったより長くなってしまった回顧録、やっと最終話です。２つに分かれちゃったけどね😅

やっと安心して、いつもと同じ日々が戻ってきたと思っていたある日。
いつもの様に午前中の部活から帰って来ると、あれ？四白朗がいない。
いつもなら走って迎えに来てくれるのに。
飼い主の家の前は、帰り道で通ったけどいなかった。
何で？私がいない間は子供達から離れたりしないはず。見回りに行ったとしても、私の帰って来る時間には、近くで待っているはず。
嫌な予感。
私は半泣きになりながら、近所を探しました。
名前を呼びながら。建物のかげや家と家の間、そんな所にも目をやりながら、近所をぐるっと一周。
いない。
色んな事が頭の中を駆け巡りながら、家の前で立ち尽くす私に、隣のおばさんが声をかけてきました。
おばさん｢もしかして、ワンちゃん探してるの？｣
私｢あ、はい｣
おばさん｢いつも連れてたあの子なら、保健所の車が来て捕まえてたわよ？｣
私｢え？！｣
頭が真っ白。何で？紙入ってなかったのに！
いや、それよりどうしよう。何とかしないと。
そこへ、いつも遊んでいた近所の子がやって来ました。事の次第を話すと、その子も驚いていた。
とりあえず、本当に連れてかれたのか確認しなくちゃと、公園の電話BOXで電話帳を見て、保健所へ電話。
四白朗の特徴と捕まえられたらしい時間を伝え、いるかどうか聞いたけれど、教えてくれません。挙げ句、ちゃんと親に許可をもらった上で、親と一緒に保健所へ見に来るようにと告げられました。
言ってる事は正しい。けど、いるかどうか位教えてくれたって！
どうしていいか分からないまま、飼い主のもとへ行き、ドアを叩きました。
何回か叩いて、やっと出てきた飼い主。
四白朗が保健所に連れて行かれたので、引き取りに行って欲しいと伝えると、
｢あの犬は、友達から預かってただけだから、俺には関係ない｣
と、ドアをバタン。
は？何言ってくれちゃってんの？この人。
ダメだ。あてに出来ない。
一緒にいてくれた友達は、自分のおじいちゃんに頼んでくれましたが、ダメとの返事。
その日の夜、仕事から帰って来た父親に全てを話し、四白朗を引き取ってきたいと頼みましたが、ダメの一点張り。
それを見ていた母親が、町内会長さんの所へ行こう！と一緒に会長の家へ。
町内会長は渋い顔をしながら、四白朗が前を自転車で通った親子を追いかけ、母親の後ろに乗っていた女の子の足に噛みついたと伝え、四白朗を町内に戻すのは無理と言いました。
私は、四白朗がそんな風になったのは、○○の息子が苛めたからだと、泣きながら訴えましたがダメでした。
家に戻り、もう一度父親に頼みましたが、首を縦に振ってはくれません。
理由は、四白朗を引き取ったら、噛まれた女の子の親に慰謝料を請求されるから。
全く意味が分かりません。庭でくつろいでいる四白朗を見て、お父さんも｢うちの犬みたいやな！｣って笑ってたじゃん！
焼き魚がおかずに出た時、少し残して｢あいつにやれや｣って渡してくれたじゃん！
無責任な事言うなら、うちの子にする前の事だしって言っちゃえばいいじゃん！
何をどう訴えても、父親がうんと言わなければ四白朗は引き取りに行けません。
私は泣きながら、自分の部屋に引きこもるしかありませんでした。

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