むうたに会いに病院へ。
相変わらず、捕獲器から出してもらえないむうた。
相変わらず、警戒心いっぱいのむうた。
そうだよね。
信じてたのに、こんな狭い場所で、毎日怖い治療されて。
裏切られたと思ってるよね。
ごめんね。
そう思いながら、一生懸命むうたに話しかけました。
「むうた、ごめんね。むうた、早く元気になろうね。すぐ出してあげるからね。むうた、むうた」
先生から詳しい話を聞きます。
「むうたちゃんは野良生活が長くてエイズを発症してしまったんだと思います。口内炎や舌炎がひどくて、喉の奥の方まで炎症があって、かなり痛いはずです。寄生虫もかなりいて、カエルを食べて感染する寄生虫なんかも出てきました。おそらく、そんなものを食べて飢えをしのいでいたのかと…
エイズ自体の治療法はないので、症状が出たときの対症療法しかありません」
そうか…
むうた、つらかったね。
苦労したんだね。
なのに、今もこんなつらい治療にたえさせて、ごめんね。
「長くは生きられませんか?」
「症状の出かたによるのでなんとも。ただ、ストレスが少なくて穏やかに暮らせれば寿命近くまで生きる子もいますから、完全室内飼いで外猫と接触しなければ大丈夫だと思いますよ」
「むうた、結局何歳くらいなんですかね?もう10歳過ぎてますよね?ヨボヨボだし」
「いいえ〜。歯の状態を見る限り、5歳。いってても6歳ですよ」
「5歳?でもガリガリで歩くのもヨロヨロしてますけど。」
「栄養状態と貧血でヨロヨロだったんですよ。貧血が改善されればもっと動くようになりますよ」
5歳…
ちまさんよりも若い。
嘘でしょ?
おじいさんに見えるほど、むうたの健康状態は悪かったんだ。
貧血でヨロヨロしてたんだ。
「むうたちゃん、飼えますか?」
「はい。飼えます。治療が終わったら連れて帰ります。もうケージも買ったし。この子、トイレもちゃんと出来るし」
「トイレのしつけ出来てるの?え?じゃあ間違いなくどこかで飼われてた猫ですね。いや、本当の野良なら、最初は全然さわらせないのに、むうたちゃん、抵抗はするけど、さわれたからおかしいな、とは思ってたんですよ。絶対元々は飼われてた猫ですよ。捨てられたのかもしれませんね」
やっぱりそうかぁ。
引き戸開けたり、家の中で寝たり、なんかそんな気はしてたんだよね。
むうた、捨てられたの?
こんなにおとなしくていい子を捨てるなんて。
もうどこにもやらない!
むうたはうちの子なんだもん。

むうたが入院して1週間。
まだ退院できません。
いつものようにむうたのケージへ。
1週間目にしてやっと捕獲器からケージへ移してもらってました。
よかった。
少しは過ごしやすくなったかな?
思い切ってケージを少し開けて手を伸ばしてみる。
さわれた。
逃げない。
むうたはオロオロはしてるけど、抵抗はしない。
そっとなでてみる。
むうたは逃げずに、それどころか、「もっとなでて」と言わんばかりに手に顔を寄せてくる。
「むうた。許してくれたの?むうた」
むうたは私になでられながら、気持ち良さそうにしてる。
「むうた、早く元気になっておうちに帰ろうね」
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