まだ口内炎がひどく、血液混じりの粘り気のあるよだれが出ていた頃は、毎晩、むうたを抱っこして、温タオルで体を拭いてあげていました。
むうたは何をされてもじっと大人しくしていました。
よだれで固まったむうたの毛は、拭いても拭いてもきれいにはなりませんでしたが、それでも私は毎晩むうたを温タオルで拭き続けました。
特に汚れがひどいところを見て
「むうちゃん。ここ、ばっちばっちだね。きれいにならないね〜」
と話しかけると、何故か次の日には、その場所はさらによだれで汚れていました。
それは多分、私に
「ばっちだね〜」
と言われて、むうたなりに自分できれいにしようと、一生懸命毛づくろいした結果でしょう。
頑張って毛づくろいすればするほど、ドロドロのよだれで汚れてしまう。
でも、むうたは、私の
「ばっちだね〜」
という心ない言葉を気にして、頑張って毛づくろいしていたのです。
何気なく言った一言。
言葉はわからなくても、私の表情や語感からむうたなりに何かを感じたのでしょう。

ごめんね、むうた。
そのことに気づいてからは、私は絶対むうたに対して
「ばっちだね」や「汚いね」
などの言葉は使わないようにしています。
私が抱っこ出来るようになって、しばらく経った頃、むうたに遊びを教えてあげようと猫じゃらしを用意しました。
むうたがお膝に入ってくつろいでいるとき、そっと猫じゃらしをむうたの前で動かしてみました。
さすがに猫だから本能に従って遊ぶだろう、と思っていたのですが、むうたは目の前のじゃらしを見ても 手を出して来ません。
なんでかな…?
しばらくじゃらしをしゃかしゃかしてみると、むうたはおっかなびっくりでそっと手を伸ばしてきますが、じゃれることはしません。
おかしいな?
むうた、あんまりじゃれるの好きじゃないのかな?
おそらく、今まで誰にも遊んでもらったことがないむうた。
猫じゃらし自体が初めて見るもの。
初めて見る動きだったのだと思います。
「なんだろ?これ?ママ、むう、これどうしたらいいの?」
そんな目で私とじゃらしを見比べています。
どんなにじゃらしを動かしても、むうたはこれをどうしていいかわかりません。
仕方なくその日は諦めることに。
でも、まだ自由に外出もできないむうた。
少しでも家の中で楽しく過ごしてもらいたい。
そう思って、その日から毎日じゃらしやひもでむうたの気を引くことにしました。
最初こそ、なかなか興味を示さなかったむうた。どんなに私がトリッキーな動かし方をしても、おそるおそる手を伸ばしてはくるものの、じゃれて遊ぶまではいきません。

そんなむうたを変えたのは、猫さんが大好きなアレ。
そう。
ダンボール箱です。
むうたから少し離れた場所にダンボールを置いて、その上でひもをぶらぶら。
すると、何に反応したのかわかりませんが、ものすごい勢いでむうたがダンボールの中へダイブ!
中でガリガリ爪とぎをすると、上でぶらぶらしているひもに飛びついてきたのです。
ものすごい興奮状態のむうた。
ダンボールの中からひもをつかもうと必死です。
あ〜。
やっぱりむうた、猫だわ(´・_・`)
これ以上ないくらい猫だわ(´・_・`)
でも、これでむうたと遊んであげることができます。
ダンボールがあれば、むうたは楽しいんだな(*´ω`*)
ダンボールを覚えたむうたは、どんどん遊びの幅を広げていきます。

おもちゃでも遊べるように。
高い場所にも登るように。
そして、高い場所からのジャンプもできるようになりました。
よかったね。
楽しいね、むうた。
そして、むうたが覚えたことがもうひとつ。
それは、鼻チョンです。
最初は私からむうたに鼻チョン。
そしてなでなで。
しばらくすると、私が顔を近づけると、むうたから鼻チョンしてくれるように。
むうたが鼻チョンするたびに、私は盛大にむうたを褒め倒しました。
「むうた〜。すごいね〜。鼻チョンしてくれたの〜?ありがと。ありがとね〜」
となでなで。
この繰り返しで、むうたは鼻チョンを完全にマスター。
それどころか、鼻チョンさえすれば、褒めてもらえるうえに、少々のいたずらは許してもらえると勘違いしてしまったのです。
物を落としても鼻チョン。
テーブルに登っても鼻チョン。
鼻チョンで足りないときには、お鼻ペロペロ。
「こらっ!」
と言っても、かわいいお鼻が近づいてきて
「ね?むう、いい子でしょ?鼻チョン上手でしょ?ね、むう、かわいいでしょ?」
とされると
「も〜。しょうがないな〜(о´∀`о)」
とつい許してしまうダメなママ。
そして、今日。
朝、ポン菓子屋さんがやって来ました。
ポン菓子屋さんとは、家からお米を持って行くと、車の機械でポン菓子を作ってくれる移動販売のようなものです。
私は正直、ポン菓子は好きではありませんが、亡くなった母が好きだったので、仏壇に供えてあげるつもりで、5合分だけ作ってもらいました。
5合といっても、ポン菓子にすればカサ増しして結構な量です。
まだ温かく砂糖も固まりきってない出来たてのポン菓子をキッチンの棚の横に置いてある椅子の上に。
むうたはキッチンの棚の上に登ってその様子を見ています。
そして、私が後ろを向いた瞬間。
ばっしゃ〜ん!
じゃわじゃわっ!
何かすごい音が…💧
慌てて振り向くと、そこには、出来たてのポン菓子の中にダイブしたむうたの姿が…
ポン菓子は辺り一面に散乱し、椅子は倒れ、むうたは砂糖でベトベトに∑(゚Д゚)
むうたは
「あっ、やっちゃった…💧」
という、明らかに悪いことした後の顔。
ゆっくりと近づいてくる私を見て
「あ、こりゃ怒られるやつだな」
といち早く察したむうた。
近くにしゃがんだ私の脚に前足をかけて、素早く鼻チョン。
それでも足りないと思ったのか、必死で鼻ペロペロ。お口もペロペロ。
むうた。
鼻チョン、免罪符じゃないから…
あんた、砂糖でベトベトだし。
床もベトベトだし。
これ、掃除するの大変だぁ…( ;∀;)
どうしてこの子はこうなんでしょうか?
もう、腹たったから、また恥ずかしい写真、載せてやる(`・ω・´)

「ママっ!またっ?それ、やめてよ〜‼︎むう、イロモノ担当だと思われちゃうよ〜‼︎」
うるさいっ!おまえは最初からイロモノ担当じゃっ!どんぶり猫のくせにっ!この地獄からの使者がっ!
「なんでだよ〜?むう、いい子にしてるのに。
この頃ひどいよ、ママ〜!」
おまえもなっ!



















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