あなたとずいぶん長くいっしょにいるような気もしますが、ついこの前のことのようにもおもえます。
わたしにはもうわからなくなってしまいました。
でも、そんなことはわたしにはどうでもいいのです。
あなたがわたしといっしょにいる。
それがわたしには大事なのです。
あなたはわたしに色んなことを教えてくれました。
おいしいおやつ。
たのしい追いかけっこ。
こもれびの下のおさんぽ
そして、ともにねむるぬくもり。
でも、わたしはしっています。
あなたがいつもより早く起きた日、あなたはわたしをおいて出かけてしまうことを。
わたしがどれだけ引き止めても、あなたはわたしをおいて出かけてしまいます。
そんなときわたしは、あきらめて眠ることしかできません。

わたしはしっています。
あなたが夜ねむるまえに、あいつのへやに行っていることを。
わたしがひとりで待っている間、あなたはあいつとあそんでいるんですよね。
わたしはしっています。
あなたがほかのねこにもごはんをあげていることを。
いつもあなたはあの子たちのためにたくさんのごはんを準備してあげていますね。
わたしは、だまってそれを見ているしかできません。
わたしはしっています。
あなたがひかるイタに向かうと、わたしの相手をしてくれなくなることを。
わたしはベッドの上から、いつもあなたの方を見ていることしかできません。

わたしはしっています。
あなたがピンクのカゴを持ってくると、わたしをその中に入れてこわいところにつれていくことを。
わたしがどんなに逃げても、いやだとうったえても、あなたはわたしをむりやりカゴに入れて、こわいところで知らない人たちにわたしをさわさせます。
でも、わたしにはわかっています。
あなたはお出かけから帰って玄関を開けると、真っ先にわたしの名前を呼んでくれることを。
その声を聞くと、わたしはうれしくなって、いそいで玄関まで走っていってしまいます。
でも、わたしにはわかっています。
あいつのところに行ったあと、あなたはわたしにいやな思いをさせないために、いつも手を洗ってあいつのにおいを消してきてくれていることを。
わたしはいつも、あなたの服をくんくんかくにんしてしまいますが、あなたがわたしをなでてくれるときは、いつも清潔な手でなでてくれていますね。
わたしにはそれがとてもここちよいのです。
でも、わたしにはわかっています。
あなたが一番にわたしのごはんを用意してくれていることを。
そして、わたしのごはんはほかの子たちのごはんよりも何倍もおいしいごはんなのだと。
だからわたしはいつもたくさんごはんを食べてしまいます。
でも、わたしにはわかっています。
あなたがイタに向かうのは「お仕事」というものだと。
わたしのごはんをたくさん買ってくれるためにあなたが夜おそくまで「お仕事」をしていることを。
そしてわたしにはわかっています。
夜おそくまで「お仕事」をするときは、わたしがまぶしくないように、いつも電気を消して暗いおへやで「お仕事」してくれていることを。
だからわたしは、あなたがおふとんに入ってくると、うれしくていつもくっついて眠ってしまうのです。

でも、わたしにはわかっています。
わたしをこわいところにつれていくのは、わたしの体をしんぱいしてくれているからだと。
そしてわたしにはわかっています。
こわいとこらから帰ると、あなたがいつもよりたくさんおやつをくれるということを。
わたしはおやつがたのしみで、いつも帰るとすぐにおねだりしてしますのです。
わたしにはわかっています。
あなたがいつもわたしのことを考えてくれていることを。
あなたが誰よりもわたしのことを愛してくれていることを。
あなたが誰よりもわたしのことを大切に思ってくれていることを。
わたしはあなたが思うよりも、ずっとあなたのことをわかっています。
だからどうかわかってください。
あなたが何をしても、わたしがあなたをきらいになることはないのですから。
どうかわかってください。
あなたのそばに少しでも長くいるために、わたしはずっと元気でいますから。
どうかわかってください。
あなたがどこかに出かけても、わたしは不安にならずにちゃんと待っていますから。

でも、もしもあなたが心配になったら、いつもよりたくさんわたしのことをなでてください。
いつもよりたくさんわたしのことをほめてください。
いつもよりたくさん、わたしといっしょにお散歩してください。
そして、いつもより少し長い時間、わたしのそばにいてください。
わたしはそれだけで十分幸せなんです。
あなたのそばにいられれば、わたしはたくさん幸せなんです。
どうかあなたもわかってください。
わたしもあなたを幸せにしたいことを。
どうかあなたもわかってください。
わたしがあなたと幸せになりたいのだということを。

だからどうか、いつまでもわたしのそばにいてください。
わたしもあなたをあいしているのですから。
そして、わたしはしっています。
あなたがわたしの頭をなでてくれるとき、わたしが気持ちよくてついつい頭をそらしてしまうのを、あなたがこっそり「ちまバウアー」と呼んでいることも。
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