
ほぼ2年ぶりに嫁の職場猫マイケルが我が家に来た。
彼が来るのは、ケガしたか病気のときだけ。
誤解があるかもしれないので、職場猫の説明をすると…
嫁の職場で飼われているわけではなく、
迷ってきたか、遺棄された猫を、そこで働くひとたちが、
共同で面倒をみている猫といったもので、特定の飼い主がいるわけではない。
職場も、その状況を許しているので、
建物には猫たちの飯場もあれば、寝床も存在する(らしい)。
よくある、ゆるやかな善意という関係性だ。
うちに来たのはほぼ2年ぶり。
2年前は他の猫とケンカして、そのケガの治療でうちに逗留していた。

2年前と変わった点は、
TNRされて桜猫になっていたことと、
エイズを発症していたことだ。
身体が辛そうで、食欲がガクンと落ちた。
みるからに痩せてきた。
そんなマイケルの様子を見るに見かねて、嫁が連れ帰ってきた。
その職場に来る前の来歴は不明であるが、
たぶん誰かの家にいたのだろう。
人懐っこくて、色んな人に愛されている。
呼び止めると、駐車場までついてきて、そのまま車に乗る。
そんな具合で、彼を攫うのに苦労はない。
病院に連れて行き、
状況が分かったところで、結局のところ考えられるのは、
彼を、いつどこで、どう看取るのか?といったところ。
職場には、彼を気にかけた方が数名いるようで、そことの話し合いになるんだろう。
結果、それが我が家になっても構わない。
幸いにも我が家は、彼を隔離しておける部屋があるから。
ただそれが、彼の望むことかどうか、だ。

今の推定年齢は8歳。
外の子にしては長く生きてる。
どんな猫生かは分からないけれど、
うちの嫁はじめ、色んな方に愛される彼には、その身体を気遣うニンゲンが、
たぶん私より多い。
生の価値がもし、他者の弔いに比例するなら、
彼の価値は私よりぜんぜん上だとも思う。
「楽しかった?」
そんなふうに聞いてみた。
ちょっと複雑で説明がしずらい感情なんだけれども、
私は君のことを、ほんの少し、羨ましく感じてる。



















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