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平成17年夏に猫を保護してより飼育中の初心者です。

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ブンブン文豪猫ホワイトのひとり言・その二十三、「掌編」 & 「ゲンさんとシコリ」
2008年5月16日(金) 407 / 7

   


 今日はホワイトからの歌便りは一休みです。

 さて、僕は三回目の掌編(短いお話)を投稿してきました。
 原稿用紙13枚程度です。

 先日、ゲンさんが大学病院を受診した際の事(4月15日の日記参照)をフィクションに仕立てました。
 内容もそうですが、いかに読み物として体裁を保つ事が出来たかが気がかりです。
 皆さんは実話を御存知なので、どのように変わったか、楽しんでもらえたら幸いです。
 ただ、あちらサイトの掲載が終わっていませんので、こちらへの掲載は終了後とさせて頂きます。
 それまでは、御面倒ですが下記にて探してみて下さい。

 http://sakka.org/training/

 それも、また楽しいかと。

 なお、旧作は掲載が終了いたしましたので4月1日と5日の日記に追記として掲載させていただきました。
 もし、興味がある方はどうぞ覗いてみて下さい。おバカなゲンさん家族の騒動を載せています。いつもの日記とは少し違って面白いのではないでしょうか。
 週末はどうぞホワイトワールドをお楽しみ下さい。

 さて、今回は以前より少しは鍛錬の成果が出ているでしょうか。
 読後の感想など頂ければ嬉しいです。

 でも、今回はゲンさんが主役で、僕の見せ場がないのが残念です。
 次回は登場させてもらいます。

 

 これはうちのお庭にある桜の木になったサクランボです。
 粒は小さいですが、食べることできますよ。


  




byホワイト 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「作家でごはん」サイトでの掲載が終了したので掲載します。
 今回は指摘のあった箇所を書き換えております。
 少しはましになっているでしょうかね。

 では、どうぞお楽しみ下さい。




    「ゲンさんとシコリ(改作)」   ホワイト著

 大学病院の形成外科外来に一人の患者がやってきた。
 皆から「ゲンさん」と呼ばれ親しまれているこの男。ことし年男の中年おやじまっしぐら。
 日頃のジョギングの成果か、メタボリックなんて関係なし、体形はスリム。フサフサとまでは言えなくてもハゲてもいない頭。柔和な顔が年齢よりも若く見える。
 初対面の者からは必ず年齢を聞かれる。
 そんな時、ゲンさんは「今年、年男です」と答えるのである。
 こう言われた相手は、大抵の場合返答に困るのであった。
 四十八と言って間違っていたら失礼だし、かといって三十六にしては老けている。
 しかし、普通こういう時、誰もが外れても失礼がないように三十六と言い、その答にゲンさんは満足し悦に入るのである。
 そのゲンさんが診察室に入っていくと、すーと白衣を着た若い男女三人が出てきた。研修医なのだろうか。ゲンさんを取り囲むように無言で立っている。
「教授の鬼瓦と申します。彼らは研修医です。ここは大学病院ということで、若い彼らに臨床の研修をする役目も担っておりますので、御了承下さい」
 ゲンさんの不安げな表情を察したのか、椅子に座るがっちりした体格の教授が説明をしてくれた。本当に瓦の様な四角い赤ら顔だ。角でも生えていればまさに鬼そのものだ。
「さて、どうしました」
 そう尋ねられたゲンさんは大学病院を受診することになった経緯を手短に話し始めた。

 それは、節分の事であった。
 例年のごとく鬼のお面をかぶらされたゲンさんが、子供達の標的になっていた。
「鬼はー外。福はー内」
「いてててて。痛い、痛い。もっと弱くしろよ」
 軽く当たっただけの豆にやけに敏感に反応していた。
「何言ってんさ、ちょっとかすった位だよ」
 子供達が口を尖らせ不平を言っていた。
 その日の夕食は豆ご飯だった。
「どうしたんです。食欲ないんですか」
 食欲のあまりなさそうなゲンさんにおかみさんが嫌味を言っている。
「豆まきしながら、食べていたんでしょう」
「食べていないさ。ご飯を食べようとするとズキズキ痛むんだよ」
 そんなこんなで、今年の節分はいまいち盛り上がらなかった。
「虫歯ですかね」
 おかみさんが心配していた。
 そう言われてみると食事中に奥歯の方からズキンと痛みが走るのだ。
 きっと虫歯に違いないと思ったゲンさんは、翌日大嫌いな歯医者へ行くことにした。
 なにせ、歯垢取りに麻酔をかけて欲しいといって唖然とされた経歴を持つ逸材。それ程の知覚過敏症だから、歯医者に行くのがどれ程の切羽詰ったものか想像できよう。
 そんな、ゲンさんに向かっておかみさんは
「親知らずなら、失神するくらい痛いらしいですよ。覚悟して行かなきゃ」
 まあ、なんとむごい事を言うのだろう。自分の歯が丈夫な事をいい事に、嫌がらせを言うおかみさん。
 毎年、正月には「今年こそ痩せるぞ」と言っておきながら、グルメを探し回っている。
 右肩上がりの体重を感じつつ、チクリチクリとゲンさんに嫌味を言ってストレスを発散しているのだ。
 ところが、こんな嫌味も受け流すお人よしのゲンさん。
 だから、二人は近所でも評判のおしどり夫婦であった。

 そして、勇気を出して訪ねた歯医者での対応は、
「ゲンさん、レントゲンも撮りましたが、何処にも虫歯なかったですよ。せっかくだから歯垢取りだけでもしましょう」
 そう言って、希望もしない歯垢取りをされたのであった。
 がっかりだ。
 虫歯でなきゃ歯医者に来なくて済んだのに。
 何か損した気持ちだ。
 しかし、この痛みは何だ。そう思い左のこめかみを触れると、何かシコリのようなものがある。
「これが痛かったのかな。でも、何だろう。とりあえず内科に行ってみるか」
 そう考え、翌日内科を受診した。
 
 そこの先生は、どこかのんびりした雰囲気がある、初老と言うにはまだ早いだろうか。
 一見頼りなく見える。
「あーこれですね。うん、確かにシコリがありますね。でも、何だろう」
「俺に聞かれても分からないから、診てもらっているんだろう」なんて突っ込みを入れたくなるのを我慢して聞いていた。
 すると、
「分かりません。これは外科の先生に診てもらって下さい。痛みがひどいようなら痛み止めだけでも出しますが、どうします」
 あーなんてこった。ここでも、無駄足を踏んでしまった。
 我慢できないような痛みでもなく、薬は断って紹介された外科にその足で向かった。
 今度の先生は逆に一回り程若かった。
しかし、大きな病院で数多く手術も手がけたと言うことであり、信頼できそうだ。
 そんな先生は、長身の背をかがめて、ゲンさんのシコリを触れた。
 メガネの奥の眼差しは一点を見つめたまま、全神経を指先に集中している。 
「ははー、確かにありますね。1センチくらいでしょうか。神経かリンパ腺か。触診だけではちょっと判断出来ませんね。これは、CTでも撮らないとはっきりしないと思いますよ。ただ、私の経験上、悪性の腫瘍という可能性は低いと思います。それでも、ちゃんとした検査を受ければハッキリすると思いますが」
 先生の診断結果はこうであった。
 結局、ここでも確定診断に至らなかった。
ついには、CTの器械がある大学病院の形成外科教授を紹介されたのである。
 またもや無駄足。しかし、着実に確信に迫っているようでもあった。
 そして今日、こうして大学病院を受診したわけである。

 「そうですか。分かりました。で、どこでしょう。痛いのは」
 そう言いながら、教授の手はこめかみに触れてきた。
 軟らかい、包み込むようなぬくもりを感じさせる指先。
 安心できる優しい、まるでお母さんが赤ちゃんを触れる時のような感覚とでも言おうか。
 不思議と痛みも軽くなったような気がした。
「あー。これですね。確かに有りますね。一センチくらいですね。みなさん、触らせてもらいなさい」
 そういう教授の声に呼応して次々と手が伸びてきた。
一人は遠慮勝ちに触れ、もう一人は見当違いの場所を触れるので、ゲンさん自ら手を取って触らせてあげた。
 こうして医者を育てるのかなと思いつつ、モルモットの気分を味わったのである。
 その後、教授はまたシコリを触りだした。そして、もう一方の手でゲンさんの手を取り自分のこめかみに持っていくのであった。
「実は私にも同じようなシコリがありましてね。もう数十年になりますが、特に問題はありません。ほら、あるでしょう」
 確かに、教授のこめかみにはゲンさんより一回り大きいシコリがあった。
「ほら、こちらにも」
 教授は先ほどと反対側も触らせてくれた。
 この突然の行動に戸惑いながらも、教授からは強い確信のようなものが伝わってきたのである。
「結論から言って、残念ですがこのCTの画像からでは何であるか断定は出来ません。正確にいうと取り出して見なければ分からないということです。どうしても何であるか突き止めたいのであれば手術して取り出す方法もありますが、私は勧めませんね。こめかみのところは重要な神経や血管が多く通っていますので、危険を冒してまで原因を突き止めることはないと思います。今の状態より痛みがひどくなったり、シコリがどんどん大きくなったりするであれば手術という選択肢も有りますが。私の経験から言っても悪性のものではない事は断定できます。どうされますか」
 そういいながらカルテに病状を書き込んでいく教授であった。
 素人のゲンさんにすれば、教授から悪性のものではないと言われ、同じようなシコリと長年付き合ってきた言葉だけに安心できた。
 そして、不思議なことに痛みも和らいでいくようであった。なにより、歯垢取りに麻酔をお願いする人が進んで手術を受けるわけがなかった。
「安心しました。先生に診察していただいただけで治ったような気がしてきました。痛みもひどくないしこのまま様子をみます」
 そして、礼を述べ診察室を後にしたのであった。 

 自宅では、予定よりも早くに帰宅したゲンさんに、おかみさんが慌てた。
 テーブルの上には保険の証書が出しっ放しになっていた。
「お帰りなさい」
「何慌てているの。意外と診察は簡単だったよ」
「でどうでした。結果は」
「悪性でないからそのままでいいってさ」
 そんなゲンさんの答えに、動揺を隠すように矢継ぎ早に言葉が出てくる。
「へえー、そうですか。良かったですね。でも、有名な先生なのかな、ちゃんとした教授なの。ちょっと心配だな。私も付いていけば良かった」
 何を疑っているのだろう。でも、改まって言われると不安になってくる。
「それ何。保険の証書広げてさ」
「あっ、これ。いえね、その。あの」
「隠さなくていいじゃないか」
「ええ、隠すつもりはないんですけど。手術とかなると、お金も掛かるでしょう。もしものとき保険が少しは出るかなと思って、見ていたのですよ」
 そして証書を片付け始めるおかみさんだった。
「どうせ死亡時いくら出るのか見ていたんだろうに」
「まあ、そりゃね。見るつもりでなくても目に入ってきますけど。一千万ですよ。少ないですかね。もう少しアップしていたほうがいいと思うのですが、今のうちに。どうです」
 そう言ってそそくさと引っ込んでいった。

 数日後、思い出したようにシコリが痛み出した。今度は反対側まで痛む。
 触れてみるとそこにもシコリが出来ているようだ。
「どうしたんですか」
 おかみさんが心配している。
「また、痛み出したんだ。それも反対側まで」
 ゲンさんには気になり出した。そういえば教授のこめかみにもシコリがあった。
 嘘だろう。まさか。
 ゲンさんにはどうしても気になることがあった。教授のシコリだ。
 自分のこめかみを触らせながらゲンさんを見る目に何か得体の知れない恐怖を感じていたのだ。
 そこで慌てて、パソコンを立ち上げ調べてみる。
「何、調べるんです」
「ほら、診察言ったときの事、話していただろう。教授のこめかみにシコリがあったって。何か心配になってきてさ」
「ああ、鬼じゃなかろうかって事?」
 おかみさんの話を聞きながら検索してみる。
 
 〝鬼瓦 形成外科 教授〟 

 表示された結果の中一つにゲンさんの目が釘付けになった。

 地方大学の形成外科教授。
 全国の形成外科に教室員を派遣している。国内有数の形成外科医。
 また一方で、自分自身は鬼の末裔との説を唱えている。
 日本人の先祖には鬼がいるとの「日本人鬼起源説」の第一人者であり、形成外科医になったのも実証を見つける為とのまことしやかな噂があるが定かでない。

 画面を見ているとこめかみがズキズキと痛みだした。
 触れていた手にもシコリが大きくなっていくのがはっきりと感じ取られた。
 柱の影からそんな様子を見ていたおかみさんにも、こめかみを押さえている手を押しのけて、下から盛り上がってくるのが分かった。間違いない。角が生え出したのだ。

「鬼はー外、鬼はー外」
 おかみさんは手にしていた節分用の豆を手を、思いっきりゲンさんに向かって投げつけるのであった。

おしまい

 この物語は、フィクションであり実在する人物、また医療機関とは一切関係が有りません。
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