土手の脇に軽トラを停めた老人が、荷台から犬を降ろし、
川に向かって歩いていく姿が目についた。
おいおいおいおい!
何だか妙な胸騒ぎがして、
そのそばに車を停め、川に下りた老人の姿を目で追う。
すると老人は、抱えていた犬を川のそばに降ろし、座らせ、
自分もその隣に座って、川のほうを眺めていた。
気になって声をかけてみると、
「こいつが年とって歩きにくくなったけん、(軽トラに乗せて)散歩に来とるんよ」
とのこと。
なるほど、老人に負けず劣らずの老犬は、ニンゲンより先に老いついてしまったわけだ。
自分の気持ちの貧しさが、気恥ずかしくなる話だった。
ニンゲンは見かけだけではよく分からない。
大義そうに犬を抱き上げ、悪態をつくこの老人も、
その態度とは裏腹に、この犬をたいへん大切にしていた。
うちにはレプン姐さんがいる。
いつかはレプン婆さんになるだろう(笑)
よろよろ歩く彼女に、憎まれ口叩くのが、私の夢だ。
私もいつまで生きられるかは分からないけれど、
彼女を看取るまでは、せめて生きたい。
老人と犬は、私の理想像でもあった。

お互いに長生きして、
あんな風に過ごしたい。



















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