
レプン姐さん。
換毛期ともなるこの時期になると、途端に黒かった毛が
茶色く脱色されたように。
おそらく、夏毛の生育に栄養を送るせいで、
抜け落ちる冬毛は生物的に栄養不良となるせいだろうけど、
私は「姐さん、(ついに)塗料が落ちてきましたよ!」と、
ニヤニヤしながら話しかける。

「こんなことじゃ(狸って)バレますよ姐さん」
「今日はいちだんとタヌってますよ!」
そんな風に言って、彼女の毛を梳いてあげる。
朝と夜の二度のブラッシングは貴重なコミュニケーションの時間。
普段の抜け毛も減れば、姐さんもころころ喜ぶ。
この日常が、現実だろうとそうでなかろうと。
いつまでも、化かされ続けていたいもの。
姐さんの鼻に指先を持って行くと、
強い調子で押し返す。それは約束のしるし。



















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