とは言え、本降りの雨はいま九州を襲い、
四国に渡ってくるまでは、少し時間がかかる。
嵐の前に、管理物件の雨戸を閉めに車を走らせる。
駐車場に停めると、すぐ隣宅から猫の声。
センパイだ。
久々に私の姿を見つけ、事務所に入れろと喚く。
足元をウロウロするセンパイを跨いで、すべての雨戸を閉める。
センパイを抱えて、事務所から抜け出すと、
大粒の雨が降り出していた。
雲の様子を眺めるに、少ししたらマシになるだろう。

事務所前に置いた椅子に座ると、
センパイも脇に置いた切り株の上にちょこんと座って、
雨が止むのを待っている。
雨が小止みになったので、センパイに暇を告げ別れる。
玄関先で見送るセンパイの姿から、どうにも気持ちが切り離せなくて、
再び車から降りて、センパイの隣に座った。
顔を見合わせた私たちは、この雨のなか、いったい何をしてるんだろうかと嗤う。
かつて私はパリピだった。
大学を卒業して、寂しくなった私は、
友達100人作るぞ、なんてことを言って、
色んなイベントを企画し主催してはケータイのアドレスを増やしていった。
100人なんてあっという間に埋まった。
1年ほどそんなことをしていたある日、
私は、私自身から声掛けしないと、誰も私に声掛けしてくれないことに気づき、
そういったことを一切やめた。
あらゆる関係に、すれ違いなんて多いものだ。
けれども、すれ違わない関係を、どこかで信じたい自分もいる。
私とセンパイは、他の多くの猫族と同様に、
すれ違わず、ずっとトモダチでいてくれる。

嬉しさは、寂しさと、気持ちの強さと比例してる。
サヨナラと手を振る、私の左手が震えてる。



















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