ほとんど使うことはないので、付き合いがその理由の大半だが、年に二度ほどは「あって良かった」と思うことがある。
三月に一度ほど、薬屋さんが商品の入替えにやって来る。先日夕方、薬屋さんが来た際、彼が玄関先で薬箱のチェックをしているとき、少し扉が開いていたようで、そこからマルリが(こっそりと)脱走した。
そのことに誰も気づかず、薬屋さんも帰った。
ところが程なく、家の裏手で猫のケンカするような声が聞こえた。外猫の諍いは時々あるので、あまり気に留めなかったが、マルリの声に聞こえる。
行くと、裏手の側溝のところにボス猫の姿が見え、その奥にマルリがいた。
私たちが近づくとボス猫は逃げ、後には怯えきったマルリだけが残った。
しっぽの付け根に引っかかれたようなケガがある程度で、もちろん気にはしてるが、ほかに大きな外傷はない。立ち向かわず逃げたから、大ケガせずに済んだんだろう。

脱走して程なく、タマタマ居合わせたボス猫と出会っての災難。おかげでマルリは憔悴しきり。今まで、家の中では怖いもの知らず、我が物顔で振る舞っていた、その自信が粉微塵と吹き飛んだのかも。
食欲も失い、物陰に潜むようになってしまった。
時間が経って、少しずつ元に戻る気配もあるけど、はてさてどうなるものやら…外の怖さを知って、外に対する関心は薄くなりそうだけど。



















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