バイクでロングライドしようと思い立ち、
機首を淡路島に向ける…が、あまりの強風に戦き、
高速の入り口をスルー。
そのまま下道を辿った先の、うどん県高松市は屋島に上陸した。
実は、私が走ったルートはほぼ、
源平合戦のときに四国に上陸した源義経が辿った道。
海軍を持たない源氏は、陸路から屋島に攻め入り大勝利。
続く壇ノ浦の決戦へと歩を進めることになった。
けれども、淡路島から屋島に目的地を変更したのは、
それとはまったく別の理由から。
日本三大狸のうち2匹が、その両方にいるからだ。
(あと1匹は佐渡島)

屋島には四国の狸の総大将を言われる太三郎狸(蓑山大明神)がいる。
狸の伝説は、何とも残念な話が多いのだけれど、
太三郎狸は、変化の術の達人で、平家の守護神でもあり屋島寺の守護。
はじめて屋島を訪れた鑑真や空海を案内し、その仏の教えに感銘を受け、
狸大学を作って狸を教育したり(笑)
阿波狸合戦では、戦の仲介役として登場、
はては日清日露戦争で小豆粒を兵士に変化させ、戦線に送ったりなど、
とんでもなく活躍した名狸。

私は、この狸とうちの黒狸(レプン姐さん)に
因果律が存在するのではないかと妄想し、
21年ぶりに屋島寺を参拝した。
姐さんは猫に化けそこなっていて、
私たちはそんなことにとっくに気づいてるけど、
気づかないふりをして暮らしています。
化けるのは、うまくならなくてもいいから、
この幸せな生活が、ずっと続きますように、と。

ちなみに、
狸は動物にしては珍しく一夫一婦制のため、
「夫婦円満」や「縁結び」の神様として崇められる。

この屋島から浦を挟んだ東側には、庵治町がある。
庵治石という高級石材が産出されることで著名な場所だけど、
「世界の中心で、愛を叫ぶ(映画)」の舞台地でもあり、聖地巡りが盛ん。
またこの浦は、
那須与一の「扇の的」の現場として、より著名である。
戦闘が終わり(当時は日中しか戦をしないルールだった)、
平家の船の舳先につけた扇を射るゲームに興じる。
与一は秀でた「武芸」でその扇の的を見事に射た後、
それを称賛し、浮かれて出て来た平家の武者をも(命令にて)射ぬいてしまい、
みなドン引きする。
平家物語のテーマは諸行無常だけれど、
このシーンの描写はまさしくそのテーマに即したもので、
中学生の頃、教科書を読んで戦慄したものである。
時代は変わる。
変わらないものなど、どこにもないけれど、
それを信じたい気持ちは確かにある。
その気持ちだけは、ひょっとすると変わらないものなのかもしれない。



















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