マモーの避妊手術の日が。

事前に何度も殿と計画し練習した通り、
マモーのお方を洗濯ネットに入れ
バッグに入れて動物病院へ。
緊張しつつ受付を済ませる。
マモーは、バッグの底で
暴れることなく、
むしろ不安になる程静かに、
石のように固まっている。
「手術後、耳をカットして下さい」
と言うと、病院スタッフも先生も
戸惑った様子だった。
「この子は、野良なんです。
だから、また外猫に戻ります。
避妊済みの、印なんです」
「飼い猫ちゃんではないのですね」
「はい、この子は・・・
うちの子ではありません」
この田舎町の病院では、
耳カットをするのは初めてらしい。
「どっちの耳にしますか?」と訊かれ
ほんとに耳カットを知らないんだなと思った。
「避妊手術した女の子は左、
虚勢の男の子は右耳らしいです。
可愛い顔の女の子なので、
あんまり大きく切らないで下さいね」
「わぁ〜本当にくりくりの可愛い子ですね」
↑誰にでも言ってるのかな?
お世辞でも嬉しい😃
「緊張してなければもっと可愛いんですがね〜」

マモーは診察台の上で
やはり石のように固まっていて、
息をしているのかすらわからないほど。

「うん、この子、かなり若いですね。
しっかりした体をしてますね、重いし
もし胎児がいたら・・・」
「子宮も卵巣も胎児も、取ってください。
確実に妊娠していると思います。
まだ妊娠してそんなに経っていないはずです」
マモーは大人しく触診されていたけど
実のところ、緊張と恐怖のあまり動けなかったといったところか。
「麻酔の注射をしますよ」
注射を打たれ、朦朧としてゆく様子のマモー。

「じゃあ、お願いします」
と殿と私が診察室を出ようとしたら
マモーが、力を振り絞って体をひねり
看護師さんが押さえる手を払って
こちらに向かってよろけながらも「ニャー!」と鳴いた。
その声は間違いなく
私たちに向けられた
「助けて!」
に、違いなかった。
「助けて」と叫んだマモーなのに
ここに連れてきたのは、
ほかの誰でもない、私たち大奥。
その上
「マモーは、うちの子じゃありません」
「この子は野良です」
「子宮、卵巣、胎児、全て取ってください」
と言って
私たちはマモーを突き落とすようにして
動物病院を後にしたのだ。
マモーは目の前で扉が閉まり
私たちが去るのをずっと見ていた。
助けてくれない私たちを。
帰りの車では、私たちは黙りこくっていた。
私は、空になってやたら軽くなったバッグを抱きながら 心に占めているマモーの大きさ、そしていろんな意味での重さを改めて感じていた。
私たちを信頼してくれていたたマモーを
いろんな形で裏切っているという
思いが、重く車の中でよどんでいた。
「がんばれ、マモー。
明日には迎えに行くから。
これで良かったんだよ、
全部マモーのためなんだよ」
そう言いながら、私は心の中で
「私は悪くない。悪くない」と
何度も自分に言い聞かせていたけれど
子供をマモーから奪い
健康な子宮を取り、二度と産めない身体にした上
新しい命まで摘み取るという
その三重の罪悪感は
べったりと心に貼りつき
どうしても、ぬぐうことはできなかった。
続くのだ!!
🌟おまけ🌟
庭に来たタヌキさん

追記
この日記あげて、残酷だとか山なんだから耳カットいらんでしょみたいなメッセージがきて凹んでいる私。いやいや、この後の続きを楽しみに見守ってよ、こんなにマモーを愛してる私がマモーのためにならないことなんかしないに決まっとるやん😭
そんなわけで優しいコメント希望。美味しいコーヒーとご当地銘菓🍰☕️の差し入れとかも嬉しい❤️😭←意外とお豆腐メンタル
まあ、ね、そんだけ心に響いたと言うか、そんだけ読んでくださってるというのはありがたいねんけどさ・・・



















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