古傷をえぐられる思いだった

2020年8月23日(日)

自分のこと

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自戒の意味を込め、耳障りな日記を書かせて頂きます事をお許しください。

土曜日のお昼過ぎに、長らくお世話になっている工務店さんが定期点検の為にいらして下さった。

この工務店さんの社員さんたちは毎年のように出先で溝にはまっていたり、茂みで鳴いていたりする子猫を会社に連れ帰り里親さんを探したり社員さんの飼い猫にしてくれたりを繰り返している。

3年ほど前までは敷地内に迷い込んできた猫さんを会社の猫として面倒を見ていたが移転に伴い新しい大家さんに

動物ダメ絶対！

と言われ、社員さん総出で新しい飼い主さんを探して下さった。

3人いらした社員さんのうち一人は初めてお会いする方だった。いつものように出迎えているチィとはるを撫でてくれながら、猫ちゃん2匹ですか？と聞かれた私は何気なく答えた。

もう1匹いるんですけど人見知りで。それとは別に二階に子猫がいるんですけど1匹いかがですか？

と。

社員さんは、いや、それが…。とスマホを取り出して写真をこちらに見せてくれる。そこには、どう見てもまだ授乳期の3匹の子猫がいる。

同僚と2人でボートに乗って釣りをしていたら急に猫の鳴き声が聞こえて、水面を見渡すと今にも沈んで行きそうな子猫たちがいた。同僚の方が飛び込んで救い上げ、

釣りなんかしてる場合じゃない。病院に行くぞ！

と、車が汚れるのも構わずにびしょ濡れのまま動物病院に駆け込んだのだそうだ。2匹は間に合わず、残った1匹も小さ過ぎてここでは面倒が見れないと言われ、迷わず会社に連れて行ったのだそう。

この工務店さんには、子猫のお世話がとても上手な事務方のTさんというお姉さんがおり、今回もTさんが同伴出勤でブ糖から持ち上げミルクから離乳までを育て上げてくれ、その後やはり事務方の猫さんを飼っている社員さんのお家に引き取られたとの事。既に体重1Kgほどになり、先住猫さんと仲良くくっついている写真を見せて貰った。

ここまで話してくれてから、社員さんは顔をしかめて言った。

僕たち、多分棄てた人を見ているんですよ。

ボートで釣りをしている時に、クーラーボックスのような物を水の上で傾けている人がいたのだそうだ。釣った魚を戻しているのだろうと、その時は何も思わなかったけどその少し後に子猫の鳴き声が聞こえて来たから、あの時に棄てていたのは魚ではなく子猫だったのだろう、と。

わざわざ手間をかけて擬装までして白昼堂々と猫を棄てていたのか。手慣れているのだろうか？どこかに上手な棄て方が紹介されているのだろうか？

子猫ちゃん可愛いですね。きっと大きくなりますよ。

そう返すのが精一杯だった。
クラクラするくらい気分が悪い。
でも、それは棄てた人に腹が立っているからって訳じゃない。

私は飛び込めなかった人だ。

5月の田植え前、満水状態の用水路の脇道を歩いていた時に、ビニール袋に入った目も開かない子猫たちが流れてくるのを見たことがある。走って先回りして地べたに這いつくばって手を伸ばしたけど、届かずに沈んでいった。

我が身可愛さに飛び込めなかった自分を罵る気持ちを、その後に迎えた猫を看取り切る事で20年以上の年月を経て、なんとか収めたのが3年ほど前。

あーもう、自分に腹が立つ！
腹が立つけど、腹を立てたって何も変わらない。

私が慢心しないように、この話を耳に届けてくれたのだと思うことにしよう。

飛び込める人を前に、改めて精進しなければならないと思った。

お付き合い下さりありがとうございました。

ジンセイユウキガヒツヨウダ

95 ぺったん