ゲンさんちの猫

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平成17年夏に猫を保護してより飼育中の初心者です。

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日記連載創作猫物語、「虹になるまで」 第二話 その一
2009年5月9日(土) 531 / 18

         「母猫」

          一

 一本松の母猫の元を去った二匹が丘陵を駆け下りて来た。
 
 長老のもとへ戻るなりライカが怒りをぶちまけている。

「長老、分からず屋の猫でだめだった。他を探すよ」
 
 睨んだように見上げる眼差しは突き刺さるようだ。

「そうか。それは残念じゃ。そう怒りなさんな、ライカ。お前の気持ちは分かるが、母猫にも他人に言われぬ事情があるのであろう。自分たちの都合だけで判断してはいかん。相手を思いやる広い心が必要じゃ。ご苦労じゃった。チップも済まんかったのう、無駄足になって」
 
 長老はライカを諭し、チップにも気配りを見せている。

「そんなことないさ、いい運動になったよ。最近運動不足だったのでちょっとへばったけど」
 
 チップの冗談が心配する長老の気持ちを和ませていた。

「しかし、困ったのう。お乳を与えてくれる母猫がいないとなると」
 
 長老が眉間にしわを寄せた時、丘陵の彼方から真っ直ぐに近づいてくる猫がいた。遠くてはっきり分からないがゆっくりと歩いて来る。

「誰か来るよ」
 
 いち早く気付いたチャーミーが立ち上がり丘陵の方を見つめている。
 
 そこにいた者の視線が集まる中、ゆっくりと一匹のキジトラの猫がやって来た。

「あっ、一本松にいた猫だ。何しに来た」
 
 現れた猫が誰だか最初に気付いたのはライカだった。

「ライカ、何てことを言うのだ。わざわざ来てくれたのに失礼ではないか」
 
 長老はライカをたしなめ、母猫に優しく語りかけた。

「そなたが母猫か。すまんの、わざわざ来てくれて、ありがとう」

 長老は頭を下げる代わりに枝を揺さぶり全身でお礼の気持ちを表している。

「仔猫はどこです。お乳の必要な」
 
 母猫はライカには目もくれず、長老を見上げて尋ねていた。

「ここだよ」
 
 そう言ったのはオスの長毛猫、チャコ麻呂だった。
 
 メイクーンの血を受け継いでいるのではないかと思われるような綺麗な猫だ。仔猫はチャコ麻呂の長毛に包み込まれるように抱かれていた。フサフサの長毛が気持ち良いのか目をつぶったままじっとしている。
 
 母猫は近づくとそっと仔猫に顔をこすりつけ、体を舐めていた。そしてやさしく懐に抱いてみた。
 
 すると、それまで身動き一つしなかった仔猫が母乳の臭いを察したのだろうか、母猫の乳房を探し始めたのだ。
 
 まわりで見ていた猫たちは仔猫のしぐさに息を呑み、覗き込んでいた。

「見てよ。おっぱいを探しているよ。あっ、咥えた。吸っているよ。仔猫がお乳を飲んだよ」
 
 感動のあまりチップはみんなを見回し叫んでいた。
 
 まだ、目も開かない仔猫が必死になって乳首に吸い付いている。こんな乳飲み子の様子はみんなが久しぶりに見るものだった。お乳を与える母猫の表情が優しく輝いている。母親としての喜びを感じているのか、一本松で見たときのような意地悪な冷たい表情ではなく、穏やかな暖かい表情になっていた。

 「しー、静かに。仔猫がビックリするよ。チップみたいに大きな声を出すと」
 
 チャーミーがチップを鼻先でつついている。

「可愛いね」

「男の子かな、女の子かな」

「どうして亡くなったのだろう」

「現世で、お母さん悲しんでいるよね。こんな可愛い仔を亡くしてしまったら」

「一人ぼっちなのかな」

 仔猫の様子を見ながら猫たちはそれぞれの思いを口にしていた。
 
 母乳をひとしきり飲んで安心したのか、仔猫はすやすやと眠り始めた。
 
 呼吸をするたびにぽっこりとしたおなかが動いている。まるで生きているようだ。
 
 先ほどまでのぐったりした様子とは明らかに違っている。毛並みにも、つやが出てきたように感じられた。

「これからどうしたらいいのです」

 しばらくして、ぐっすりと眠った仔猫をやさしく抱いたままで母猫は長老を見上げていた。

「まだ、泉の水も自分で飲めないようじゃ。済まんがしばらくお乳を分けてはくれぬか」

 長老は懇願するように枝をゆっくり揺さぶった。

「分かりました。泉の水が飲めるようになるまで私が一本松の下で母乳をあげます。皆さんがそれで宜しいのであれば」

 母猫は回りにいる猫たちを横になったままで見回している。

「もちろんじゃ。なあ、みんな」

 長老がみんなを見下ろした。

 枝に止まっていた小鳥たちは返事をする代わりに嬉しそうに歌い始めた。猫たちの中に反対するものがいるわけもなかった。

「みなさんありがとう。こんなに喜んで飲んでくれたのです。私の母乳で良ければ、必要なだけ与えましょう」

 母猫は、仔猫を優しく舐めている。まるで本当の子を世話するように、その瞳に母としての優しさがこもっていた。

 周りで見ていた猫たちもうなずいている。もちろんライカも同じだ。これで大丈夫と皆が安心するのであった。

つづく

 
 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 いかがでしたか、今回のお話。

 先週は大変な高評価を頂き、主一堂大変感激いたしております。
 これを励みに主にはますます精進してもらいたいと節に願うばかりです。

 今日から、第二話になります。
 あれほど嫌がっていた母猫がやってきました。
 戸惑うチップとライカですが、今はそんなことを言っている場合ではありません。仔猫のためにお乳を分けてくれる母猫を頼るしかなかったのです。
 とりあえずはこの場をしのいだ恰好です。
 良かった、良かった。

 今回はOKさん!ちのチャコ麻呂君登場です。
 長毛のふさふさの毛で仔猫を暖かく抱いてあげていましたね。
 あまりセリフのない登場だったのですが、いかがでしょう。お気に召されましたでしょうか。

 突然ですが、物語の中でこの仔猫に名前を付けたいと思います。
 再来週になるかと思うのですが、本文中にて皆様のご意見を反映させたいと思います。
 ぜひ、ここまで読んできたイメージで仔猫に名前を付けてください。
 良ければ理由も書いてあると助かります。

 実は第二話の三で名前を付ける予定なのですが、ここは書き残しています。 皆さんに物語り作りに参加していただこうと思っていたのです。

 期間は来週までの一週間です。
 寄せられたご意見を基に、本文中で発表いたします。

 ぜひ、この仔猫にピッタリの名前を考えてください。
 よろしくお願いします。

 連休中、良いお天気だったので僕達はシャンプーをさせられました。
 綺麗になったのは良いのですが、疲れました。

     


     


 では、また。
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