とは言え、棄てられていた姐さんの正確な誕生日は分からない。
何となく9/1としたが、だいたいそんなところだろう。
8歳と言えばシニアの入り口にかかる。
健康状態に全く不安はないが、目に見えない詳細を確認しようと、
ノンノの定期通院と一緒に、彼女を病院に連れて行った。

車はもちろん嫌な姐さん。
助手席で泣き叫ぶ(笑)

病院に連れて行くと、とたんに固まる。

触診から尿検査と血液検査。
血を取るときだけは抗ったが、あとは無抵抗。
血液は外注の精密検査に出すものもあるので、
まだ全部のデータを頂いていないんだけれど、
現状分かる数値だけでは「全くモンダイがない」と。
どうやらすこぶる健康体の姐さん。
今までの8年弱の付き合いの間に、病気らしい病気をしたこともなく、
とにかくまぁ、よく食べよく眠る。
元気、というより頑丈だ(笑)
会計時、待合で姐さんたちと座ってると、
「髭の子、カワイイですね」などと2人から声をかけられる。
先生も「カワイイカワイイ」と言ってたけど、
私は思わず「そうかな?」と警戒してしまう。

その反発心はつまり、
私は姐さんが宇宙で一番カワイイ狸だと思っているのだけれども、
そのカワイさは自分だけのものにしておきたい、という吝嗇な気持ちからだろう。
素直に喜べない、メンドウな大人なのだ私は(苦笑)
で、
肝心のノンノさんの数値は、いぜん悪い。
腎数値は高止りの横ばい傾向が続いていて、いつガクンと来てもおかしくないのだ。
いまは一見元気そうなんだけど、「しきい値」みたいなものがあって、
それを跨がせないように治療をしている。
けど、対処療法はいつか限界を迎えるだろう。
そのいつかを延ばしてるようなものだ。
数値的には尿毒症が重篤化していてもおかしくないと言われた。それでもそんな様子が伺えないのは、奇跡に近いことだろう。

帰り道、ふと「ノンノのいない世界」を想像してぞっとした。
歳を取って、様々なことに耐性ができて、心配事も少ない日常。
この猫娘がいなくなるってことは、
そんな日常を絶望に変えるほどのインパクトがある出来事になるだろう。
私にはその覚悟が全くできない。
私が車に乗せてるこのふたりは、
私のジンセイにとって、あまりに特別すぎる存在だ。私がこう書き、認知する以上に、心から、いやもっと奥の魂から、手放したくないと感じているように。
毎日毎日そう実感してるから、途端に怖くなって無言になる。
アクセルを少し戻してスピードを下げる。
ゆっくりゆっくり、私たちの時間がなるべく長く、そして遅く進んでいきますように。
祈るような気持ちでハンドルを切った。
どこに向かわなくても、誰に会わなくてもいい。
ただ「今」がずっと続いてほしい。
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