ようよう喪明け、となる。

一年も経つと、彼女の記憶もうすらボンヤリしてき、
さすがに毎日は、ノンノをことを思い出さなくはなった。
けれども、
朝晩が涼しくなってきた昨今、
毎日まいにち律儀に私の身体に寄り添ってくれた彼女の温もりを、
この肉体が忘れることはできないよう。
相変わらず、寂しいなとさえ思う。
「ノンノがいたらこうだった」なんて、日常茶飯に考えてしまう。
つい、である。
反射みたいなものだから、実のところ意識しないと忘れられないのだ。
ちいさな身体に似合わずダミ声で、
何かあればすぐに、私たちに文句を伝えてきた。
若い頃、散々揉めた。大雨降って、いつのまにやら地も固まった。
そのレプン姐さんとは、姉妹のように仲良くなった。
そんなふたりでいる姿が、私はとても好きだった。
このふたりの「とおちゃん」であることが、私のジンセイ最大の自慢だった。

もっと一緒にいたかった。
一年経っても、驚くほど進歩のない自分に気づいて唖然とする。
喪明けしても、何も変わらない。
変わらない気持ちなんてものがあるってことを知って、
「ニンゲンは畢竟ひとりである」なんて嘯いてた自分が恥ずかしくなる。
どうやら私は愚かだったみたいだよ。
そんなことを伝えたくて、だから。
もっと一緒にいたかった。
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