ゲンさんちの猫

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平成17年夏に猫を保護してより飼育中の初心者です。

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日記連載創作猫物語、「虹になるまで」 第九話 その二
2009年11月28日(土) 544 / 16

            二

 女性は夫婦二人暮らしだった。二十台の半ばに結婚したが、残念なことに子宝に恵まれなかった。

 子供なんて天からの授かり物と焦りは無かった。

 三十台になり、妻が少しづつ子供を持ちたいと思い始めた。不妊治療を受けてみようかと話し合いもした。しかし、原因がどちらかにあった場合、責任のなすり合いになることを恐れ結局病院へは行くとこも無く四十台になった。

 この頃になると、もうどちらからも子供の話は切り出すこともなかった。

 小さな一軒家を購入し、二人で幸せな暮らしをしていた。
その庭に、いつからか、人懐こい猫がやって来るようになった。グレーの猫だった。

 どこかの外猫かもしれないと思いながらも、孫が尋ねて来てくれたのを喜ぶように暖かく見守っていた。

 猫には猫としての生活があるだろうと、保護し世話する事などは考えなかった。毎日顔をあわせる事だけで十分な癒しをもらっていた。時々残り物のご飯を与えたりして過ごした。

 のちにどのような結果を招くかなど考える余地はなかった。
春になり猫のお腹が日に日に目立ってきた。どうやら身ごもったらしい。どこでお産をするつもりか分からない。夫婦は猫の行動を注意深く見守っていた。やはり定住場所のない野良猫のようだった。

 残暑が残る頃には毎日やって来た。

 日中だけだったものが夜も居座るようになっていた。

 我が家でお産するようなことになるかのしれないと、古いタオルをダンボールに敷いて寝床を作り風の当たらない車庫の隅に置いてやった。

 懐いていた猫は安心してダンボールに入っていった。まるでお産場所を決めたかの決めたかのように見えた。


 夫婦が、自宅の庭に植える花の苗を買いにホームセンターへ行ったときのことである。

 バーゲンセールの品物が山積みされているワゴンの前で夫が何かを手に取り真剣に見ている。何を見ているのか妻はそっと後ろから近づいた。

「何だ、いたのか」

 気配を感じた夫が照れくさそうに妻の顔を見た。夫の手元を見た妻は全てを察し、微笑み返した。

「ペットフードなんて見るのは初めてですね。こんなに色々あるなんて、知りませんでした」

 妻は出産の経験もないのに、孫の出産を初めて迎える祖母のようにときめきを感じていた。

 ペットコーナーを見て回った夫婦は驚きの連続だった。ありとあらゆる物が置いてある。

 色々な味付けにされたキャットフード。缶詰に固形。赤ちゃん用のミルクから高齢用の療養食まである。

 猫用のトイレ用品もあった。粘土系の砂、おから、紙、ヒノキのチップ。オムツもある。人間のベビー用品売り場ではないだろうかと錯覚するほどだ。見るもの全てが新鮮な物だった。

 ペットは家族の一員と言われていたが、夫婦には今まで実感がなかった。ペットを飼っている人たちがどれ程の思いやりを持って接しているか、売り場を見て初めて納得した。

 
 夫婦は猫の生態など全く知らない。今まで見ているだけで良かったからだ。近付く出産にそうも言っていられなくなり、インターネットで調べ始めた。

 そして、可愛いだけの餌やりが不幸な猫を生んでいる事実を学んだ。野良猫としての宿命を背負って生まれてくる仔猫たち。その猫が大人になりまた野良猫を生む。

 一年間に二十万匹以上の猫が殺処分の対象になっている。この数字を見て愕然とした。

 猫の世話などしていない時は、何も気に留めていなかったことだ。

 これほど多くの命が、人間の手によって処分されている。何の罪も無い小さな命が。

 人間だけの地球ではないはずなのに。全ての生き物にとって優しい星であって欲しいのに。自分達の無知を知り、胸が痛んだ。

 世話をするなら最後まで面倒を見る責任を持つこと。常識であるはずの事がしつこいほど書かれていた。裏を返せばそうでない現実があるということだ。いかに自分たちが現実離れした感覚でいたかを思い知らされた。

 今まで、考えもしないことであった。少しでもおなかの足しになればと思っていた餌やりが、逆に猫を不幸にする結果になっていたとは。

 夫婦は改めて生き物への接し方を考えた。
大人としていい加減な接し方ではいけない。

 誰からも後ろ指を指されないような責任ある行動をしなければならない。

 それが二人の結論だった。

つづく

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

いかがでしたか、今回のお話。

 ピースに寄り添う女性との関わりが少しづつ明らかになります。

 ピースの生い立ちが分かってきます。

 どうか現世で元気に生きてもらいたい人間の気持ちと、丘陵で暮らす亡くなった猫たちの気持ちが通じ合った時、ピースは戻れるのです。

 どんなに難しいことでも心を一つにすれば成し遂げることが出来るのです。諦めてはいけません。

 現世に帰るのももうすぐです。皆さんも丘陵の猫と気持ち一つにして読み薦めて下さい。
 
 次回もお楽しみに。

 さて、舞い戻ってきた車庫猫。

 劇的な展開がありました。

 仔猫の鳴き声がすると出てみると、車庫猫と全く同じ小さいのがいました。

   


 えーっ、一人ぼっち!

    


 と思うと、後ろから車庫猫が現れました。

    


 知らない間にお母さんになっていました。

 まだまだ、警戒しているようですが、ちょこっと触らせてくれました。

 結構まるまるしているので、親子でごはんはもらっているのでしょう。

 なのに、うちに遊びに来るの。

 不思議です。

 可愛かったですよ。

 で、我が家の主にも新たな展開がありました。

 それは、次週紹介しますね。
 
Byホワイト
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