足音もなく寄って来て、
何の遠慮や挨拶もなく、
丁度いいくぼみを捜し、
手で数回かいて、腰を下ろす。
香箱を組む。
それが股の間のことも、
そして椅子に座る、膝の上であることも、
多かったのだけれども、
やはり、
背中が一番多かった。

どんなに私が急いでいても、
どんなに私が怒っていても、
ポーカーフェイスな彼は、
一切、場の空気を読まずに、
ただ「私はここにいたい」を強要する。
小人の国で捕まった、
ガリバーのように私は、
彼が動くのを、ひたすら待つことを強要される。
そんな我儘な彼が、
やっぱり今でも、大好きだ。
寝転がっても、
誰も、このタイミングでは乗ってこない。
そんな背中が煤けてる。
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