私は彼がお気に入りだった、
右の腕を、少し開けて、
眠る癖が、未だに治らない。
もう、いないものの存在を、
慈しむかのように、空間の空虚さを、
いつの間にか認めてしまっている。

最近、そこにノンノが入ってくるようになった。
ピリカに比べると、
まだまだ小さな身体から、
人よりも温かな体温と、確かな鼓動が感じられる。
そっと腕を曲げて、頭を撫でると、
ピリカは目を細めたが、
ノンノは私の顔をキョトンと見ている。
子猫らしい図々しさで、
大切な場所をスクワッド。
けどさ、
もう譲ってあげてもいいんじゃない?
空き家と同じで、
誰かがそこに住まないと、
気持ちもどんどん腐っていくかも。
新しい春が来る。
ピリカやキムンのいない春。
寂しいな。
けれども、ノンノとの初めての春。
嬉しいな。
そこにいることを許してあげる。
けれど、約束しておくれ。
長生きするって。
あと、
トイレをきちんと覚えるって。



















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