呼び止めると、それほど慌てた様子もなく、1.5mほどそばまで近づくことができた。
指先を見せると、興味がある素振りだったが、そのまま踵を返して立ち去った。
10日ほど前にそんなことがあり、
その翌日も駐車場で目撃した。
1週間ほど前には、事務所の2軒隣のコンビニの駐車場から、
菓子パンのビニル袋をくわえて歩いて来るのが見えた。
あそこまで近づけたからカンタンに保護できるかも…
そんな風に感じていたここ数日。
道路わきに遺体があった。
どうして、思ったらすぐに行動しなかったんだろう…
そんなことが悔やまれた。
その子の失われた命に、負い目があるように感じてしまう。
どんよりした気持ちで遺体に近づく。
意外にも、私が数度見かけていたその子ではなく、
今日まで見たことのない、同じ年齢ほどの子猫だった。
あの子とは兄弟かもしれない。
もっとも、今となっては知る由もないが。
いつもの場所に埋葬した。
管理している畑の端である。
「また、どっかで会おうよ」
最後に土をかけるときは、お決まりでそんな風に言う。
終わってショベルを洗っていると、久々にセンパイがやって来た。
どうして猫族はこう、ベストタイミングで現れるのだろう?
私の沈んだ気持ちを見透かすかのように。
「知らない猫だったけど、これで知ってる猫になったよセンパイ」

しっぽを立てて、奇声を放ちながら頭突きを繰り返すセンパイ。
私をねぎらってるつもりなのかも。
こういうトモダチがいるから私は、つい、こうしたことをしてしまうのだろう。
お互いをリスペクトし合える、私とセンパイのように、
無駄な命なんてないと、信じたいから。



















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