
我が家の土鍋は伊賀土鍋である。
かつての土鍋のスタンダードで、伊賀の土が長石を多く含まず、
多孔質となり焼き締まらないことから、火にかけても割れないため重宝された。
民具のため、それほど高価ではないのだけれど、
産地に行けば、アウトレットが¥1,000ほどで買える。
うちもそれを購入し、10年以上も愛用してきた。
寒くなると、鍋料理が増える。
この時期、我が家は月に20日ほど鍋にしている。
昨晩も、鍋にしようと野菜を切り、出汁をこしらえ、
いつもの土鍋を据え、火にかけた。
出汁から気泡が出てきたことを確認し、蓋を閉める。
するとどうしたことだろう、途端に妙な臭いがするのだ。
これはそう、猫族の尿だ。

我が家でこういう場合はノンノを疑う。
だが台所にその姿はない。
そうするうちに、どんどん臭いは増してくる。
まるでいま、目の前でノンノがトイレをしているかのよう。
作業台や床など、怪しいと思ったところを嗅いだり触ったりしても、
全くその様子もない。
まさか?と思えば鍋が臭う。
火を止めて、蓋を開ける。
とんでもない異臭だ。
しかも湯気が回った1階にすべて、ノンノの尿の臭いがする事態に。
鍋の中身を捨て、確認すると…
鍋の底に臭いの元が。

思えば2日ほど前、
作業台の上でノンノが尿をしていた。
その時、鍋を置いていたクッション布にしみ込んだのだけれど、
その布から鍋の底に更にしみ込んだものらしい。
伊賀焼の多孔質さが裏目に出て、器のかなり奥まで浸透してしまったようだ。

それから2度ほど洗って、水だけを入れ鍋を火にかけたが、
その度に異臭騒ぎ(笑)
こんなものにさすがに食料を突っ込む気がしない。
とても愛着がある道具だったけど、こんな感じでお別れすることになるなんて…
せめて植木鉢にでもなんないかなぁと思案。
それにしても、こんな風ににされてもノンノを恨めしく思えないのは、
猫族の卑怯なところ。
カワイイって、ときに厄介な感情だね。



















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