11月17日

2023年11月18日(土) 96 / 2

朝起きて、眠気まなこに写るのは天気のニュース

「本日は台風並みの天気になるでしょう」

とアナウンサーが言う

「…は？」

靴下を履く手が止まる

確かに外は雨が降っている
この雨がこれ以上酷くなると？？？

完全に仕事着を着る手は完全に止まった
「あず、大丈夫かな」と声が漏れる

母親が振り向かずに「雨風凌げるところに居るといいね…」と2人してテレビを見ながら会話をした

車を出す時間になり「行ってきます」と声をかけると「気をつけてね」の返事
「あいあいさ」と返事をして車へ行った

日課の道路を見る
今日は雨が降っているためより一層目を凝らして職場に着いた

「今日もなし、、」

ただこれだけが今は救いだった

何も変わらない仕事をこなす
鳴らない携帯

携帯を開けば、居なくなる前に撮っていた写真を眺めてしまう

どこにいるんだろう
体調崩してないかな
大雨降ってるけど大丈夫かな

「早く会いたい」

と声が漏れてしまう

漏れた声は雨の音でかき消されてしまった

休み時間が終わり仕事場に着く
雨が気になり窓を見てしまう

数時間経った頃だろうか
眩しい光が差している

「へ？台風並みの雨はどこ行った？」

外に出れば西日が眩しく体を照らす
雨はさっきまで降っていた様だが、暖かい

ほっとした
この陽の光であずが温まればいい
神様、ありがとう

少し軽くなった体で仕事場に戻った

しかし、暖かったのが嘘のように暗くなる
雨こそ降っていないのが救いのようだ

仕事が終わり家に向かう
この時も道路に目を配らせながら戻るのが日課になった

玄関の扉を開ければ、お出迎えするのは家にいる兄猫と妹猫

「おかえり」と言わんばかりに大きい声で鳴いてくれる
「元気だね、ただいま」と頭を撫でれば擦り寄る2匹

…本来ならここにあずがいるはずなんだよな
と寂しさに襲われる

今日はどうやら母親の方が早かった様で
「捕獲器どうだった？」と、聞けば
「やっぱ掛かってないね、雨降ってるからお外に出てきてないのかも。ご飯濡れないようにダンボールで囲ってあるけどぐちゃぐちゃだよ」と報告をしてくれる

ちゃんと見てくれている
ありがたい

その後も、「どこにいるんだろうね」「天気がいい時に捜索範囲広げてみようよ」「もう少し遠くまであるってみる」と母と2人作戦会議が始まった

今日は雨が降った後だったので、捜索自体断念
捕獲器のご飯の取り換えと、ご飯のお皿を買い替えた

不安になり「あず、生きてるかな…」と声が出てしまう
それに対して父は「生きてるよ、余裕」と直ぐに返してくれた

その一言でも心が救われた気がした

今できることをやるしかない
家族皆諦めてない
絶対お家に帰すんだ

日付を見れば進んでいるようだけど、僕の時は君がいなくなった時のまま
1秒足りとも動いていない
今でも部屋に居れば来るんじゃないかと思ってしまう

いなくなった時に戻せれば…、何度願っただろう

君が居なくなって10日目
君がいてくれたからこそ、生きてる意味があった
ずっと君に支えられていた事を実感した

夜は特に寂しすぎる
軽くなってしまった布団が、落ちているおもちゃを見るのが辛い

今までお外に出たことないから楽しくなっちゃったかな？
でも、そろそろ帰ってくる時間だよ
美味しいご飯も、暖かい寝床も用意して待ってるよ

あいたい

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