マイクロチップ強制は、動物愛護の遅れた国の制度（後編）

2024年3月10日(日)

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マイクロチップを強制している国、前編では米国、オーストラリア、フランスを説明しました。

今回はベルギー、スペイン、ギリシャ、イギリスを説明します。全てヨーロッパです。

１．ヨーロッパでは、日本の100倍の犬猫が捨てられている。

前編でフランスの捨て猫の話をしましたが、ヨーロッパはどの国もペットの遺棄が多いのです。
日本でも捨て猫捨て犬が無くなりませんが、ヨーロッパは桁違いです。
それを象徴するのがクリスマスです。

　　　ヨーロッパでは、クリスマスの後に捨て猫が増える
ヨーロッパでは、家族や知人にクリスマスプレゼントとしてペットを贈る習慣があります。

そしてその後、動物保護施設に収容されるペットの数が激増します。

各国政府と動物愛護団体の呼びかけ。
英国　 Pets are not Christmas gifts, (a)
　　　「ペットはクリスマスプレゼントではない」
ベルギー　"Een dier is geen cadeau" (b)
　　　　「動物は贈り物ではありません」
スペイン　Piden no regalar perros ni gatos en esta Navidad (c)　
　　　　「今年のクリスマスは犬猫を贈り物にしないで下さい」
ドイツ　 TIERE SIND KEINE GESCHENKE　(d)
　　　　「動物は贈り物ではありません」

その一方で
ギリシャ　Γιατί να μην κάνετε δώρο μια γάτα για τα Χριστούγεννα　(e)
　　　　　「クリスマスプレゼントに猫を贈ってみませんか？」
イタリア　gattini sono anche una scelta popolare come regalo di Natale.　
　　　　「子猫はクリスマスプレゼントに人気です。」(f)

イタリアではクリスマスに35万匹のペットが購入され、数カ月後に40％が捨てられるそうです(g)。

犬や猫をプレゼントする。飽きたら捨てる。生き物をおもちゃだと思っている人が多い。
製造番号のようなチップの埋め込みも、抵抗がないのかもしれません。

２．マイクロチップを義務化している各国の状況。
（１）ベルギー
保護施設の犬猫の収容数は2022年に少なくとも5万匹(h)、人口比で日本の10倍以上。殺処分の全国データはありませんが、例えば南部ワロン地区(人口360万)で2,262 匹(i)、人口比で日本の8倍です。

（２）スペイン
保護施設の犬猫の収容数は2022年に288,457匹、人口比で日本の14倍。遺棄された数はその3倍と推定(j) 殺処分数は国が公表しません(k)。スペインでは民間の動物殺害が酷く、闘牛による牛の殺害もそうですが、狩猟が盛んでハンターが働けなくなった猟犬を毎年5万匹も殺しています(l)。

スペイン　マドリードの野良猫

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（３）ギリシャ
野良犬野良猫が都市に溢れ、街の景観になっています(m)。2012年にマイクロチップが義務化されましたが、10年後の2022年、「住む家を失った犬猫たちが劇的に増え、現在300万匹を超え、400万匹に近づきつつある」(n)。マイクロチップの効果は、見られません。
ギリシャは犬猫の殺処分はありません。国にお金がなく収容施設を作れず、放置したままなのです(o) 。

（４）イギリス
1000万匹以上の野良猫がおり、そのうち900万匹は捨て猫、迷子猫(p)。あるメディアによれば、保護施設には猫120万匹、犬66万匹が収容、施設が満杯で次々処分され、100万匹以上が殺処分されているそうです(q)。一方保護施設側は、新聞報道ほどは殺してない、時には眠らせる(殺す)方が親切だと述べています(r)。

キリスト教国の、神様から祝福されない動物たち

以上、マイクロチップを義務化している国を全て紹介しました。
これらの国は人々が犬猫を捨てて、いたる所に野良猫野良犬だらけです。
放ったらかしのギリシャを除き、保護施設は満員で次々に殺処分されています。
マイクロチップ強制は、人々の動物愛護の精神が遅れて、どうにもならない国の制度なのです。

４．日本

日本は、人々の努力によって捨て猫を減らしました。野良猫は欧米諸国の100分の1もいません。
遅れた国の真似をしてマイクロチップを強制するのは、動物愛護の流れに逆行します。