鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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132日目「これは全て“夢”の話です。」
2026年4月24日(金) 163 / 0

午後六時まで、あと数分。
降り止まない雨の影響か、薄暗い部屋の中で猫を探す。

「おや、3号。おまるの時間かい?」

オープンタイプのトイレの前で、ウロウロと床の匂いを確認する3号に声を掛ける。
ソレは病気の猫の為に購入した至って普通のトイレなのだが、まだヨチヨチ歩きの3号が使用していた事からあだ名が付いた物だった。

「…ん?」

不思議な事が起こった。
3号の後ろから、一回り大きな3号が見えたのだ。

…あり得ない光景だった。

我が家には4匹の猫が暮らしているが、3号と見間違える事は絶対にないと断言できる。
1号はキジトラ、2号と4号は黒猫だからだ。

「アレ?」

ジッと目を凝らしてみると、ある事に気が付いた。
私が最初に3号だと思った塊は3号ではなく、次に現れた3号とよく似た塊が3号だったのだ。

しっかりとした足取りの3号の手前にいる塊は、ヨタヨタとガニ股で歩く子猫だった。
その色合いは引き取った当初の3号とよく似ており、柄の色が濃くなった現在の3号よりもだいぶ薄かった。

「…どういう事?」

謎が謎を呼んだのか、さらなる問題も発覚した。
なんと、3号の背後にテチテチと歩き回る子猫が居たのである。

「えぇ…。」

3号の手前にいる子猫よりも、後方の子猫は黄色みが強い。
しかし、どちらもキジトラとラグドールのハーフである3号によく似た柄だった。

「まさか、2号が産んだのか?」

両目をギュッと瞑り、瞬時に浮かんだ疑惑を否定する。
2号は避妊手術を受けているし、やっと生後半年の3号の子供である筈がない。

…そもそも、視界に映る子猫達は歩行できる程度には育っている。

1号と2号は去勢済みで、どちらも雄猫だ。
それに、ラグドールの血を受け継いでいるのは3号だけなので二匹が雌猫でも説明がつかない。

「お母さん!」

反対方向に移動する子猫達を目で追いかけながら、立ち上がったまま身動きをしない母に呼びかける。
私と同じく状況が理解出来ずに固まっているのかと思っていたが、母の反応は私の想定とはズレていた。

「はいはい、仕方がないから聞いてきてあげるわ。」

面倒臭そうな態度でカーディガンを引っ張り出し、羽織りながら玄関に向かう母。
二十年来の付き合いがある獣医師を問い質しに行くのかと思いきや、タンクトップと短パンの部屋着でウロチョロするには動物病院は距離がある。

…まさか、叔母に自慢しに行くんじゃないだろうな?

3号のビジュアルが好みの叔母に見せれば、さぞかし羨ましがられる状況だろう。
オマケに子猫達の出所の相談も出来るだろうが、まずは医者に見せるのが筋ではないだろうか?

「…お母さん、大丈夫?」

玄関に繋がる扉から顔を出し、鍵を開ける母に声を掛ける。
猫が飛び出さないように、最小限の隙間から通り抜ける習慣が身に付いているのだ。

「大丈夫、大丈夫。ほら、玄関の戸を開けるから閉めなさい。」

私と同じく少しだけ扉を開けた母が外を確認し、傘を掴みながら手を振った。
ガチャリと玄関の扉が閉まった音を確認してから玄関に向かい、玄関の扉を施術しながらため息を吐いた。

「…変な“夢”。」

目が覚めたので、とりあえずメモ帳に見た夢の内容を箇条書きする。
この後、さらに物理的にぶっ飛んだ夢も見たが、コレには猫が登場しなかったので省略した。

「視界には入らなかったけど、何か3匹いた気がするし…。」

私は3号の手前にいた子猫と背後にいた子猫しか確認できなかったが、夢の中の設定では3匹の子猫が部屋の中にいたようだ。
多分、最後の一匹も3号と似た柄だったと思われるので、見付けられなかったのが残念だった。

「あら、とても良い夢じゃない!」

寝ぼけ眼のまま母に夢の話をすると、大家族になった我が家を想像した母が手を叩いて喜んだ。
しかし、観劇の為に長時間の留守番を強いられた反動に突き動かされた3号が一晩中、オモチャを咥えた状態で顔の上を横断し続けた所為で寝不足の私には子猫達の世話係りが務まるとは思えなかった。
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