鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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139日目「穴が開いた袋は使えない。」
2026年5月1日(金) 53 / 0

3号の目の前には沢山のオモチャが転がっている。
歴代の愛猫達が遺していった品々や4号の持参品以外にも、新しく買い与えられた物もあるからだ。

…しかし、今の3号はオモチャではない物を楽しんでいた。

「ひゃっはー!」

ワシャワシャと派手な音を鳴らしながら、全身で感触を堪能する3号。
本当はあげたくなかったのだが、身体が大きくなってしまった3号を満足させるにはコレしかないと思ったのだ。

「楽しいかい、3号?トイレットペーパーが入っていた袋は…。」

諦めの境地で声をかけると、“んるる!”と顔を上げる3号。
その瞳はキラキラと輝き、久しぶりに遊べた遊具から離れない子供そのものだった。

「ソレ、ちょうだい!」

そもそもの始まりは、1号と2号と3号を引き取ってから一月も経っていない時期の事。
多分、4号が骨折をする前の話である。

「ん?どうした、3号?」

まだヨチヨチ歩きだった3号が興味を示した物を手に持った状態で、寄ってきた3号を掴み上げる。
膝の上に乗せると、3号はたどたどしい動きで右手を上げて ペシペシとソレを叩いて要求するように鳴き始めた。

「えぇ?コレは駄目じゃないかな?」

難色を示したのには理由があった。
3号が欲しがっている物はオモチャではないからである。

「…コレ、ティッシュペーパーが入っていた袋だよ?」

仕方がないので3号の前に置くと、素早い動きで中に入っていった。
モゾモゾと探検した後、ピョコンと顔を出してドヤ顔を披露している。

「見回りできたー!」

「…可愛い!」

空気穴はあるので窒息する事はないだろうし、咥えたりはしていないので誤飲もないだろう。
他に気になる事があればアッサリと出ていったので、私は3号が遊びたい時は横に座って事故が起きない様に見守る事にした。

…しかし、そんな3号の楽しい日々は終わってしまったのだ。

「まぁ、大型の猫だからね…。」

生後半年の3号は、出会った頃と比べると三倍以上の大きさに成長した。
(推定)父親の1号はガッシリとした体型、母親はラグドールとの噂なので3号には伸びしろしかなかったのだ。

「…入らない。」

袋に顔だけを突っ込み、ションモリと入らなくなった肩を落とす3号。
どうにか入れないものかと様々な角度から身体をねじ込もうとするも、ティッシュペーパーを五つも内包できる袋も3号の大きさは許容できなくなってしまったのだ。

「大きくなったね。」

ソレは喜ばしい事ではあるが、戻れない日々はいつだって眩しいものだ。
私にも成長と共に諦めなくてはならなかった事があったので、3号の気持ちは痛いほど理解できる。

「…あ、コレなら入るじゃん。」

トイレ掃除を行う為、スコップを持ち上げた時に閃いた。
何度も言うが、あまり気乗りはしないものの3号の為なら我慢しよう。

「3号、どうぞ。」

2号と一緒にテケテケと早朝の運動を始めていた3号を呼び寄せるように、ヒラヒラと袋を振る。
その瞬間、3号は勢いよく飛び付いてきた。

「袋だー!」

中に入り、クルクルと袋の中を確認する3号。
広さに満足したのか、ゴロリと寝転がって袋を揺らしている。

「…どうして、おトイレの袋で遊んでいるの?」

置いてけぼりの2号が首を傾げて3号を観察していた。
私がいつも固まった猫砂を小さな袋に詰めた後、トイレットペーパーが入っていた袋やキャットフードの空袋にまとめているからだろう。
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