鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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154日目「意外な事に、母と1号からのウケが良かった。」
2026年5月16日(土) 119 / 0

私が生まれ育った街には、諸行無常を感じさせる商店街がある。
母が幼かった時には繁華街と呼称しても差し支えがない程度には栄えていたらしいが、私が物心が付く頃には自他共に認める程に寂れた街になっていた。

「…また潰れている。」

老朽化を理由にアーケードも撤去され始め、町おこしを称して新規の店舗を開いても数か月で閉店するのがお約束となっていた。
ソレは過去の栄光を引き摺った高すぎる賃貸が理由だったり、そもそも少子高齢化の縮図のような人口密度では商売が成り立たない事が原因なのかもしれないが、どっちにしろ悲しい話である。

「最初に行列を味わっちゃえば、誰だって勘違いしちゃうよね…。」

開店時には情報通のマダム達が暇を持て余した家族を引き連れて押し寄せるので、それなりに繁盛しているように見える。
しかし、一ヶ月もすれば一日に数人の客を待つ為に店員が暇潰しに精を出すようになるのだ。

「…やっぱり、飲食店はセールすら出来なかったか。」

物珍しさが財布の紐を緩めるのは一回だけだ。
その後は余程の事がなければ家計を守る事を優先するし、少し待てば在庫整理が行われるのだ。

…私を含め、この街の人々は閉店に慣れすぎてしまっていた。

情報源がなくとも、人の出入りが激しい店があれば開店か閉店のどちらかという事は分かる。
自分の好みと合致すれば商品棚に向かうし、興味がなければ通り過ぎるだけなのだ。

「激安の文房具とか、ご自由にお持ち帰りくださいの参考書とかは有難かったけど、自分がお店を持とうとは一切思わないよな…。」

新しいオモチャにはしゃぐ猫達を眺めながら、ぼんやりと思い出に浸る。
高校時代の同級生の中には“いつか自分の店を持ちたい”と夢を語っていた子も何人かいたが、私は幼少期からの刷り込みで店舗経営には悲観的だったので応援はしても協賛は難しいと思いながら話を聞いていた。

…あのキラキラとした瞳をした彼女達は、その夢を叶えられたのだろうか?

「コレ、なかなかオモロイやんけ!」

「次は私の番よ!」

「ボール、ボール!」

「僕も転がすよー!」

バタバタと走り回る彼らが前足で蹴り飛ばしているのは、ガチャガチャのカプセルの中にピンポン玉を入れた新作のオモチャである。
材料は勿論、私が人生で初めてお給料を貰った施設が閉店した際に譲り受けた売れ残りの品々である。
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ミクのパパ 2026/05/17

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