鞠緒さん

鞠緒

兵庫県 30代 女性 ブロック ミュート

猫飼い歴=年齢。 一度はその栄光の歴史が途絶えてしまうも、僅か4日で復興。 現在は1号(♂)と2号(♀)と3号(♂)と4号(♂)の4匹が在籍中。

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210日目「カビゴンからピカチュウに戻ってきた。」
2026年7月11日(土) 16 / 0

愛用していたマグカップが割れてしまった。
叔母に大爆笑された過去を持つ柄ではあるが、私にとってはお気に入りの物だったのでとても悲しい。

「コレ…。」

食後の紅茶を飲み終わった後、母に空になったマグカップを手渡す。
首を傾げながら受け取った母は、私の指の先を辿った瞬間に表情を変えた。

「大変!」

左手の上にマグカップを置き、右手でペシペシと弾いて音を確認する母。
職人のような動きに魅入っていると、母はため息を吐きながら首を横に振った。

「駄目ね、完全に割れているわ。」

「もう無理?」

「うん、いつ取っ手が外れてもおかしくないわ。」

コトリッとテーブルの上に置かれたマグカップの内側には、白色の磁器には似つかわしくない紅茶の染みがクッキリと刻まれている。
何日か前から気になっていたのだが、“飲み終わってから話題に出そう”と考えつつも、紅茶を飲み終わる頃には忘れてしまっていたのだ。

「お気に入りだったのにな…。」

ションボリと呟くと、母がガサゴソと食器棚を漁って前に使っていたマグカップを引っ張り出してきた。
取り出したマグカップをジロジロと確認した後、ヒビの入ったマグカップの隣に置いてから私に指示を出す。

「まぁ、丁度いいから聴き比べてみなさいな。」

チロリと母を見上げてから先代のマグカップを持ち上げ、見様見真似で指で弾いてみる。
ヒビ割れマグカップと交換し、同じようにツンツンと突くと全く違う音が聞こえてきた。

「何か、前のマグカップはペンッペンッて感じだけど、コッチのはカシュッカシュッって感じがする!」

「ね?違うタイミングで聞けば分からなくなるだろうけど、一回でも一緒に聞けば忘れないでしょう?」

フムフムと頷く私にドヤ顔を披露してから、母はマグカップを片付けていく。
気に入っている柄だったので残念だが、コレクション置き場すら縮小している状況では思い出の品として飾る事も出来ないのだ。

「お母さんが洗い物をする時にシンクの縁にぶつけちゃったからかもしれないわね…。」

「多分、1号がマグカップを倒して遊んでいたからだよ。」

申し訳なさそうな様子の母に1号を差し出すと、ハッとした表情で自分のマグカップも確認する母。
液体が入った状態の物に手を突っ込む事はしないが、中身が無くなるとオモチャと認識して転がしたくなるようだ。

「ウチの猫達のグッズは作ってみたいけど、普段使いする物は捨てられなくなりそうだから止めた方が良さそうだね…。」

そう呟くと、母も“いつも言っているでしょう?”と言わんばかりの顔で頷いた。
私が本好きというのも理由の一つだが、処分しなくてはならない状況に陥り難い物でないと私と母が耐えられそうにないので、製作するなら歴代の愛猫達の歴史書が無難だろう。
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GX 1時間前

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